はじめに

誤解4:つみたて投資枠の投資信託は「低リスク」

新NISAのつみたて投資枠で買える投資信託は、金融庁の設定した一定条件を満たしています。そのため、「金融庁のお墨付き」と表現されることがありますが、決して「低リスク」なわけではありませんのでご注意ください。

金融庁が選定基準として決めているのは、「買付手数料が無料(ノーロード)」「信託報酬率が一定以下」「信託期間が無制限または20年以上」などです。つまり、手数料が比較的安く、今後長い期間、運用が継続されることが期待できる商品です。決して、「投資した結果、損するリスクが小さい商品」ではありません。

投資信託の損益は、主に価格の変動の大きさが影響します。そのため、低リスクの商品を選びたいときは、1年や5年、10年、30年といった過去の実績を見て、どのくらい価格が変動しているかを判断材料のひとつにすると良いでしょう。株式投資信託では、価格が1年で2割や3割変動することも決して珍しくありません。どこまでが自分にとって許容できる「低リスク」なのかを考えたうえで判断しましょう。

誤解5:新NISAの非課税枠は使い切ったほうが良い

NISAの税優遇制度を活用するため、「NISAの非課税枠」に合わせて投資額を決めている人が少なくありません。しかし、投資はあくまでも自分のライフプランを充実させることを目的に行うものではないでしょうか。それならば、投資する時期や投資する金額は、自分の目的(ライフプラン)に合わせて決めることが適切です。

投資信託による投資は価格変動のリスクがあるため、投資期間は長いほうが、利益が出ているタイミングを狙って売却しやすくなると期待できます。そのため、マイカーやマイホームの購入など、数年以内に使う予定のお金を投資に回すのは「運任せ」の要素が大きくなります。確実に確保しておきたいなら、直近のライフプランで必要になるお金は、投資資金とは分けて手元に置いておくことを考えてください。新NISAの非課税枠を埋めるため、無理に投資額を増やす必要はありません。

ただ反対に、これまで堅実にためてきたお金がたくさんあって、非課税枠を超える投資資金を準備できる人もいるでしょう。その場合は、非課税枠よりも多い金額を投資に回すことも検討しましょう。当然のことですが、NISA口座以外でも、投資を行って利益が出れば資産は増えます。NISA口座とそれ以外の口座の主な違いは、利益に対して約20%の税金がかかるかどうかです。「特定口座(源泉徴収あり)」という種類の口座で投資信託を買った場合、売却して利益が出ても、面倒な税金の計算や手続きは不要です。

新NISAは画期的な内容となりますが、あくまでも資産形成を助けてくれる制度にすぎません。最も大切なのは、自分に合った投資を続けることです。制度を正しく理解できたその後は、自分に合った投資スタイルを見つけるため、資産運用について学びを深めてください。

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