はじめに

生活費の目安は月45万円、しかし実際は月55.3万円!?

「相談者プロフィール」には、「毎月の支出の目安は月45万円」と書いてあります。しかし書き出してある支出を合計すると、月55.3万円です。目安と実際の生活費の差額は10万円以上です。

一般的に高収入の家庭は支出も多くなります。では相談者と同じ手取り収入からみた月55.3万円の生活費は、適切な金額なのでしょうか。総務省「家計調査年報2021年」のデータと比較してみましょう。

総務省のデータより、収入800万円以上1,000万円未満の手取り収入は58.24万円/月で、相談者の58.25万円/月(=699万円÷12、児童手当含む)とほぼ同額です。総務省データでは、この収入の平均的家計支出は約35.9万円となっており、貯蓄に回せる黒字額は約22.3万円となります。相談者の実際の月の支出額は55.3万円なので、同収入の平均支出より月20万円ほども支出過多です。また、相談者申告の毎月の支出の目安の45万円ですら、10万円多く支出していることになります。

次に、相談者の貯蓄に注目してみましょう。

現在は毎月12万円を給与天引きしています。月45万円の支出なら、【図1】の13.2万円とほぼ同額ですが、月55.3万円の支出の場合は、月2.9万円しか貯蓄できないはずです。ということは、実際は月12万円を給与天引きしながら、毎月支出の赤字分は貯蓄から取り崩しをしていることになります。これでは4,000万円もの貯蓄があるとはいえ、老後が不安になるのは当然ですね。

生活費月45万円と月55.3万円では減り方が大きく異なる!

次に、生活費月45万円と月55.3万円の場合で、妻70歳までの貯蓄の減り方を比較してみましょう。

【図2】は現在の貯蓄残高4,290万円からスタートし、31年後の妻70歳までの貯蓄残高の推移を見たものです。

この試算では、月45万円で生活すると、31年後の妻70歳、夫78歳時の貯蓄残高は4,009万円あります。しかし月55.3万円で生活すると、31年後には、163万円しか貯蓄が残りません。妻70歳の年齢では、まだまだ先は長いわけですから、今のうちに生活費の改善をしないと、相談者の悩みの「老後の不安」は現実のものとなりそうです。

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