はじめに

10月の日経平均株価は前月比で998円下落し、今年最大の下げ幅を記録するなど冴えない展開でした。ところが11月に月替わりした途端、様変わりの強さを見せました。10月31日から上昇に転じたので厳密には「月替わりした途端」ではありませんが、とにかく10月31日からの4営業日で日経平均は2000円も上昇し、10月の下げ幅を「倍返し」で取り戻したのです。

しかし、足元では、さすがに反動安となっています。ギャップアップ(窓空け)が3つ続いて、酒田五法で目先ピークとされる「三空」が示現しました。「三空に買いなし」と言われ、短期的には利益確定売りが増えるのは無理のないところです。基本的には短期のスピード調整と考えますが、ここから上昇していくには、テクニカル面でしっかりとした改善を示すことが肝要と思います。


日経平均は重要な局面

日経平均は3万2000円台前半に位置する75日移動平均線をいったん軽々と上抜けましたが、再び75日線まで押してきました。ここで堪えられるかが正念場です。5日と25日の移動平均線はゴールデンクロスを達成しましたが、次に25日移動平均線が75日の移動平均線を下から上に抜けるゴールデンクロスを達成できるかがカギです。

日経平均の一目均衡表は「三役好転」を一時達成しました。株価が雲の上に抜け、転換線が基準線を上回るなどの条件が揃い、もっとも強い買いシグナルとされるものです。ただ、これも完全には抜けきれず、このまま株価が下押しすると「ダマシ」となる可能性もあります。ですので、ここでのテクニカルは非常に重要な局面を迎えていると言えます。

しかし、日経平均が一時的にも3万2000円台後半に上昇したことによって、10月上旬と下旬につけた3万500円近辺の2つの底の中間反騰の山から引いたライン(ネックライン)を超え、「ダブルボトム」が完成したことは揺らぎません。大底は入れたと見られます。

したがって、基本的には押し目買いのスタンスで良いと考えます。

「株価が短期間で急騰したため割高感が出たのでは?」という声もありますが、まったくそんなことはありません。日経新聞社が算出している日経平均の予想PER(株価収益率)は、先週2日に株価が大幅高になったにもかかわらず14.8倍(11月8日時点)に低下しました。予想EPS(1株当たり純利益)が急伸したからです。これだけ株価が急騰してもバリュエーション面に割高感はなく、テクニカル面でも東証プライムの売られ過ぎ、買われ過ぎを判断する指標、騰落レシオ(25日平均)はまだようやく100を少し超えたばかりであり、過熱感はありません。さらに上値を追っていける余地はじゅうぶんあると思われます。

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