はじめに
優待縮小で株価が急落したアマガサ
アマガサ(3070)は、毎年1月末時点で100株以上を保有する株主に、希望の婦人靴を一つ贈呈していました。また1月末日及び同年の7月末日に継続して200株以上を保有する株主には、婦人靴2つを贈呈という内容でした。消耗品である靴を200株保有で年2回贈られる優待は女性に大人気でした。変更後は保有数に応じて割引クーポン券の贈呈のみとなりました。
11月10日の発表日の終値は259円でしたが週明けの翌営業日は30%を超える大幅下落となりました。これまでの手厚い優待との乖離が大きすぎる点が嫌気された結果とも思えます。これまで企業を応援しつつ恩恵を受けていた人たちの失望感を想像すると今後の株価がどのように推移するのかが気になります。
大成温調は優待を大幅に拡充
一方、大成温調(1904)は株主優待を大幅に拡充することを発表しました。大成温調の株主優待は、毎年3月末時点の株主を対象に実施され、変更前の内容は300株以上を保有する株主に、保有株数に応じてQUOカード3000円~1万円分を贈呈するというものでした。変更後はQUOカードの額面が大幅に増額され、300株以上で3000円分を→1万6000円分(1万2000円増額)、500株以上で5000円分→3万円分(2万5000円増額)、900株以上で1万円分→6万円分(5万円増額)という内容です。これまでは年1回の一括配当でしたが2025年3月期からは年2回となる中間配当を設け、変更後金額の半額のQUOカードを配布する予定です。
発表翌日の11月14日は寄付きから2916円でストップ高となり終日取引は成立しませんでした。11月17日の終値は3600円でした。また同社は決算発表時に2024年3月期の配当予想(期末一括配当)を修正して、前回予想の1株あたり84円→126円に42円の増配をすることと共に、2024年3月期の通期の連結業績予想を上方修正することも発表しました。
株主優待の大幅な拡充と増配を行う理由として、「当社のPBR(株価純資産倍率)は長年1倍を下回って推移していますが、これは、持続的な成長に対する株主様や投資家様の十分なご理解を得られておらず成長期待が不十分なことや、株主還元策への期待値が不足していることに起因するものと認識しております。(中略)こうした状況を改善するため、(中略)株主配当方針の改定および株主優待制度の拡充を行うことと致しました。」としています。
株主優待を新設した西華産業
西華産業(8061)は、毎年3月末時点の株主を対象にQUOカードの株主優待の新設を発表しました。理由として、「株主の皆様の日頃のご支援に感謝するとともに、当社の認知度向上および売買取引活性化を図りより多くの方々に当社株式を保有していただくことを目的としております。」としています。また、同時に増配も発表し、株価は高値圏を維持しています。
各社様々な株主優待の見直しが行われていますが株主優待は個人投資家にとっては株式投資をする上で楽しみの一つでもあります。米国をモデルとした平等な配当のみのドライな対応も悪くはありませんが、日本の文化に浸透している株主優待を継続できる企業は続けて頂きたい気持ちでいます。
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