はじめに
不動産を持っていない親であれば大丈夫…ではない!
ここで、「自分の親は、不動産を一切持っていないから、うちは関係ない!」と思うのは早計です。先に挙げた例のように、祖父母の代やそれよりも前の先祖の代から相続登記がされないままになっている不動産が残っている場合があるためです。
極論ですが、ある日突然、名前すら聞いたこともない先祖が持っていた山林の相続人であることが発覚し、会ったこともない数十人もの相続人たちと、誰がその山を所有するかを話し合い、相続登記の義務を負うことになってしまうかもしれないのです。
相続登記義務化の概要
さて、相続登記義務化によって、新たに以下の内容が定められました。
(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければならない。
(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の適用対象となる。
(※)相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。
引用:法務省
つまり、「相続によって所有者になると決まった人は、3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料の対象となりますよ」ということです。
本当に過料を課されるのか
過料が課されるまでには、
①相続登記義務違反者を、法務局の登記官が職務上知ったときに
②義務違反者に対して催告がされ、
③相当の期間が経過しても相続登記がされない場合には、
④裁判所への過料通知が行われる
とされています。
そのため、相続登記義務化を知らない人や、相続登記をしなければならない土地の存在自体を知らないが、突然罰せられるということはなさそうです。
ただし、だからといって「罰則は形式上定めているだけ」といったものではなく、法務局などから相続登記の催告をされたのに放置していれば、過料の対象になることは充分起こりそうです。