はじめに

相続登記で揉めた場合はどうする?

相続登記をするには、例えば「この不動産は、長男が所有者として相続する」といった、相続人同士での話し合いと、全員の実印を押した遺産分割協議書という書類の作成が必要になります。そのため、もしも相続人の間で、資産価値の高い不動産の奪い合いや、資産価値の低い”負”動産の押し付け合い等で、誰が相続するか方針がまとまらないと、相続登記をしたくても登記することはできません。

そうなると、あっという間に手続き期限の3年間が経過し、罰則の対象にもなりかねません。
そこで、相続人であることを申告すれば、相続登記をする義務を免れる制度として「相続人申告登記」というものが、新たに設けられることになりました。

さいごに—親族内の”臭い物に蓋”に直面せざるを得なくなる!?

いかがでしたか。相続登記義務化が、いかに”意外と身近な法改正”であることがお分かり頂けたと思います。

ここで、この義務化によって、筆者が最も大きな影響を及ぼしそうなことは、罰則ができること自体よりも、これをきっかけに、「今まで”臭いものに蓋”をしていたような、放置していた不動産を誰が相続するか」について、否が応でも目を向けなければならなくなるということです。

もしかすると、その話し合いがうまく進まずに、これをきっかけに親族関係がギクシャクしてしまうリスクもあるでしょう。しかし、それを放置すれば、罰則の対象になるうえ、問題の先延ばしにより、今後自分の配偶者や子供など、多くの関係者にこれが波及していく可能性もあります。

その意味で、「相続登記の義務化」は、今後の家族・親族円満を目指す意味で重要な役割を果たすかもしれないとも考えられるのです。

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