はじめに
30代女性のライフステージは、まさに十人十色です。結婚・出産をする人もいれば、独身の人もいます。すでに複数回の転職をしている人も珍しくありませんし、学びなおしのため学校に戻っている人もいるでしょう。それほど多種多様なライフスタイルであれば、家計もそれぞれに異なっているはずです。
とはいえ、平均的な収入、貯蓄額、生活費を知っておくこともおろそかにできません。長引くデフレ経済の出口が見えはじめてきた昨今、自分の価値観にこだわり過ぎていると、新しい経済の流れに乗り遅れてしまうかもしれません。時には立ち止まって、周りの様子を知ることも大切です。
今回は、東京都内で暮らす、30代独身一人暮らしの収入、貯蓄、生活費の平均について見ていきましょう。
東京都の女性の平均年収は約355万~371万円
東京の平均賃金は、男女とも全国都道府県のなかで最も高い水準です(厚生労働省「2021年賃金構造基本統計調査」)。
所得税や社会保険料などを差引く前の、額面賃金は、女性の全国平均は約26万2600円。30代前半の30~34歳では25万9600円、30代後半の35~39歳では、27万円円です。
東京都の賃金が、全国平均の約1.16倍であることを加味すると、都内に住む女性の賃金は、30代前半で約30万1000円、後半で約31万30万9000円です。
東京都で働く30代の女性は、年収にして約361万~376万円。月の手取り額は、24万~25万円程度。この中から、貯蓄をしつつ生活費をやりくりしているので、決して楽ではない実態が浮かび上がってきます。
収入は、働き方によっても違いがあります。比較的安定して働ける、正社員・正職員に比べて、正社員・正職員以外の収入はおさえられがちです。
さきほどの、東京は全国平均の1.16倍、と考えると、30代の雇用形態別平均賃金は以下のようになります。
東京に住む女性の平均賃金は、正社員・正職員は30代前半で約31万3000円、30代後半で約33万2000円、正社員・正職員以外では30代前半で約24万4000円、30代後半で24万1000円です。
正社員・正職員の賃金水準の方が高いのは全国的な傾向ですが、企業の規模によって差の大きさには違いがあります。大企業ほど差が大きく、小企業では差が小さくなっています。
数字を見る限り、正社員・正職員以外で働くなら、小企業のほうが正社員・正職員との賃金差は小さい面ではよさそうです。ただし、大企業であればパート職員であっても社会保険に加入できたり、福利厚生が充実していたりと、賃金の額面金額だけではわからない実質的なメリットもあります。
仕事選び、会社選びは、仕事のやりがいはもちろんですが、収入の面も重要です。いったん就職したら、転職をするのは大変なことも多いので、総合的な待遇も含めて考えることが大切です。