はじめに

7月29日の大幅反発は、売られ過ぎが要因?

もうひとつアドバイスがあります。この7月相場をぜひ記憶にとどめておいてほしいのです。なぜなら相場の教科書のような値動きが多く見られた展開だったからです。例えば、日経平均が7月11日に史上初の4万2000円台をつけた時のチャートの形を見てください。大きく上放れて「窓」を空けました。

「窓」とは、相場の急な上げ、または下げにより、前日終値と翌日始値が重ならないでできた空間のことです。翌7月12日には急反落となりましたが、今度は逆に下放れてやはり「窓」を形成しました。7月11日の高値が2つの「窓」空けで取り残された「離れ小島」のようになりました。これは「アイランド・リバーサル」と呼ばれる形で、典型的なピークアウトのシグナルです。

【図1 アイランド・リバーサルが発生した日足チャート拡大図(2024年7月11日前後)】

出所:マネックス証券ウェブサイトより

はたして株式相場はそこから一気に大幅調整を強いられたのはすでに述べた通りです。この「離れ小島」、英語で「アイランド・リバーサル」の意味は、見た目の通り、行き過ぎです。勢いが余って飛び出してしまい、それまでの相場の流れとの連続性が断たれています。言わば、ある種の「幻の値」です。相場でその価格がついたのは事実ですが、実態としては「なかったものとする」というのが「離れ小島」の意味なのです。

さて、その「窓」ですが下落局面でも3つの「窓」が示現しています。

【図2 三空が発生した日足チャート拡大図(2024年7月11日前後)】

出所:マネックス証券ウェブサイトより

「窓」は別名「空」とも言います。酒田五法では、「三空に買いなし、売りなし」と言います。3つも窓が空けば、やはりそれは行き過ぎという意味です。下落局面で示現した3つの窓、すなわち三空は「三空叩き込みに買い向かえ」と言われ、底入れのシグナルです。果たして株式相場は今週の月曜日7月29日に大幅反発しましたが、その背景には三空が示していたように売られ過ぎで自律反発の素地が整っていたということがあったのです。

相場が力強く上昇すれば強気になるのは無理もありません。反対に暴落すると怖くなって弱気になってしまいます。しかし、そんな時こそ反対の心構えを持つようにしたいものです。つまり、大きく上昇した時こそ反落を警戒し、暴落が続いている中でも反騰のチャンスをうかがうのです。急騰・急落というのは相場の行き過ぎを伴っている場合が多く、だからこそトレンドが転換しやすい局面だということもできます。

2024年の7月相場は史上最高値更新からの記録的な急落で、上述のポイントを2つも実体験できたと思います。ぜひこの経験を記憶にとどめ、これからの長いマーケットとの付き合いのなかで有効に活用してほしいと願います。

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