はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ
今回の相談者は、離婚を検討している女性。離婚の際に考えておきたいお金のポイントは?FPの當舎緑氏がお答えします。


子ども2人がいて、持ち家もあるのに、夫が住宅ローンのお金を家計に入れてくれなくなった。扶養を外れて収入もアップしたせいもあるかもしれないけれど、このまま夫名義のローンを自分が返すのか?離婚も考えているが…。
【相談者プロフィール】
・妻:200万円(月給15万円 賞与あり)
・協会けんぽ・厚生年金に2023年から加入している
・夫:不明
・こども:小学6年生、中学2年生

【毎月の支出の内訳】
・住宅ローン及び住居費:月10万円(夫負担)
・食費と日用品:8万円(主に夫負担だが妻もある程度の負担)
・水道光熱費:夫負担のため不明
・携帯電話代及びインターネット代:夫負担のため不明
・子どもの習い事代:2万円(妻負担)
・自動車維持費用:約1万円(ガソリン代など妻が負担)

當舎:近年、パートに対する社会保険適用拡大が促進され、妻の所得が増えたご家庭も多いでしょう。その増えた分をそのまま貯蓄や投資に回すことができればいいですが、そういったご夫婦ばかりではないのが現実です。

今回のケースでは、まだ離婚には至っていませんが、家計に関するすり合わせが夫婦で話し合えないまま離婚の危機に瀕している状況です。

厚生労働省の令和5年人口動態統計月報年計(概数)を見ると婚姻数47万4717組に対し離婚件数は18万3808件で、離婚率(人口千対)は令和4年の数値1.47から1.52となり、わずかに増加しています。離婚の原因として挙げられるものの一つに、お金の問題があるケースは多いもの。夫婦といっても育った環境が異なればお金に関する考え方が違ってくるのも当たり前でしょう。このような場合に知っておきたいこと、準備すべきことをお話しします。

夫が家計に入れるお金を減らし始めた

このご夫婦は、これまで妻が扶養の範囲内で働き、毎月夫からその都度お金をもらうという形で家計管理をしていました。この方法は、住宅ローンも夫の名義であることから、夫婦円満なら何の問題もありません。ところが、妻が扶養を外れるくらいに収入を得られるようになったころから、夫から毎月渡されていたお金が減り始めました。何度注意しても聞いてくれないことから、今後離婚も視野に入れたほうがいいのか悩んでいます。

ただ、子どものことを考えると、すぐに離婚するには経済力に不安があります。妻によると、購入したマンションは、子ども達が通学している小学校と中学校に近く、売却するよりも「住み続けたい」という希望があります。返済中の住宅ローンは、夫が契約して住宅ローンを借りている状態で、マンションの名義も夫のみ。

もし、今後夫がローンを負担してくれなくなった時、妻の選択肢として考えられるのは、以下の3つのいずれかになるでしょう。

(1)このまま夫名義の住宅ローンを代わりに返済し続ける
(2)新たに妻が住宅ローンを借りる
(3)離婚をして財産分与をしてもらう

妻にとって、ここでの選択がライフプランの分岐点となります。

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