はじめに
次の暴落に備えてやっておくべきこと①無リスク資産とリスク資産の割合を確認
暴落が来ても投資・運用を継続するためには、「売りたくなる状況を無くす」のがベストです。
日々生活するためのお金、ケガや病気で働けない時のお金、数年以内に訪れるようなライフイベントのお金については、NISAではなく、「元本割れしにくい&少しでもお金を増やせる」金融商品が適しています。現預金や個人向け国債などの無リスク資産が候補です。
自分のポートフォリオの中で、無リスク資産(現預金・個人向け国債)とリスク資産(株式・投資信託など)の割合を確認し、無リスク資産を十分に確保するようにしましょう。
リスク許容度(いくらまで損に耐えられるかの度合い)は人によって異なるので、参考情報になりますが、無リスク資産とリスク資産の割合は、「自分の年齢」と「120から自分の年齢を引いた数字」を対応させるのがひとつの目安です。
例えば、自分の年齢が40歳であれば、無リスク資産:リスク資産の割合は40:80くらいの割合で持っておくということです。
資産が840万円ならば、無リスク資産は840万円×40/120=280万円、リスク資産は840万円×80/120=560万円という具合です。
なお、一般的な「120-年齢」の法則は、算出される数字が株式の比率とするものです。40歳ならば、80%を株式に配分し、20%を債券など株式よりもリスクの低い資産に配分します。預貯金などの無リスク資産はこの法則とは別で考えるというもので、正直使いづらいです。無リスク資産とリスク資産の割合目安は、筆者が使いやすくアレンジを加えたものです。
ただし、総資産が少ない場合は、この法則を使わないほうが良いです。例えば、総資産が120万円などと少ない場合、無リスク資産40万円、リスク資産80万円でも良いということになります。無リスク資産40万円では、ケガや病気で働けないなどのもしもの場合に心配な金額です。数年以内に訪れるようなライフイベントのお金を用意する必要であれば、無リスク資産の金額はもっと必要です。
預貯金などの無リスク資産は、最低でも生活費6ヶ月から1年分、金額目安としては150〜300万円は持っておきましょう。
暴落で精神的なダメージを負った人は、無リスク資産とリスク資産の割合を確認しましょう。毎月の積立金額がリスク資産に回りすぎているならば、無リスク資産に回す金額を増やすことをおすすめします。
次の暴落に備えてやっておくべきこと②リスク許容度に合わせて投資資産を見直す
リスク許容度に見合わない、リスク(値動き)の大きな投資をしていると、暴落局面では値下がり幅も大きくなります。
今回の暴落による資産下落が、精神的にキツかったということであれば、投資資産を見直しても良いかもしれません。今後もっと大きな暴落が起こった時に耐えられないのではと思います。
新NISAで人気のある投資先「オルカン」をはじめとする全世界株型インデックスファンドや「S&P500」をはじめとする米国株型インデックスファンドは、いずれも100%株に投資する投資信託ですのでリスクが大きい商品です。
リスクを抑えるならば、
・債券に投資する投資信託
・REIT(リート・不動産投資信託)に投資する投資信託
・債券やREITなど複数資産に投資するバランス型投資信託
などに入れ替えることで、リスクを軽減する期待ができます。
「オルカン」の愛称で親しまれる全世界株式インデックスファンド「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の5年リターン(年率)は18.94%ですが、5年リスク(年率)は20.00%です。S&P500に連動するインデックスファンド「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の5年リターン(年率)は22.63%、5年リスク(年率)は20.86%です。
国内外の株と債券の4資産に均等投資しているバランスファンド「ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」の5年リターン(年率)は9.35%、5年リスク(年率)は10.40%となっています。数字はいずれも2024年8月9日時点です。
4資産バランスファンドのリターンは、全世界株型や米国株型のインデックスファンドと比べて半分になっていますが、リスクも半分に抑えられていることがわかります。ここでいう「リスク」は「リターンの標準偏差(変動幅)」です。
高配当株ファンドや連続増配株ファンドに入れ替えるのも一つの手です。暴落中や下落相場でも、高配当株や連続増配株は安定的に配当を出す傾向があるので、値下がり局面になると投資家からの需要が大きくなります。相場全体の下落に強く、また下落から一足早く抜け出す傾向にあります。暴落中や下落相場でも、定期的に分配金をもらうことができれば、回復を待ちやすいですよね。
本稿が皆様の投資行動のご参考になれば幸いです。
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