はじめに

「足りない財布」を「減らない財布」に変える方法

年金は、原則的に65歳から受け取れますが、60歳から75歳の間ならばいつでも受け取ることができます。

60歳から64歳の間に受け取るのを繰上げ受給といいます。繰上げ受給をすると、1年間に年4.8%の減額になり、60歳まで繰り上げると24%の減額になります。

一方、66歳から75歳までの間に受け取ることを繰下げ受給と言います。年金を繰り下げすると1年間に8.4%の増額になります。70歳まで繰り下げると42%の増額になります。75歳まで繰り下げると84%の増額です。

さて、先ほど説明しました、夫が厚生年金に加入し、妻が国民年金だった場合の65歳からの年金額は、夫が月額16万3875円で、妻が月額5万4426円でした。夫と妻の両方が厚生年金に加入している場合は、65歳からの年金額は、夫が月額16万3875円、女性は月額10万4878円でした。

では、70歳まで年金を繰り下げると年金額がどう変わるのかを考えてみましょう。

夫が厚生年金に加入し、妻が国民年金の家庭では、夫の年金は月額約22.7万円に増額、妻は月額7.1万円に増額になります。夫婦の年金合計は、29.8万円になります。

夫と妻の両方が厚生年金に加入している家庭は、夫の年金は月額約22.7万円に増額、妻は月額14.2万円の増額になります。夫婦の年金合計は、36.9万円になります。

先ほどの家計調査の平均生活費と比べてみると、夫が厚生年金に加入し、妻が国民年金の家庭は、約1.6万円のプラスです。夫と妻の両方が厚生年金に加入している家庭は、プラス8.7万円です。

70歳まで我慢をすると一生お金に困らない?

65歳で、年金を受け取ってしまうとその後の老後生活では、マイナスになります。つまりある程度の節約をしながら生活することを求められます。

しかし、年金の受け取りを70歳まで我慢することで、42%の増額になります。結果、夫が厚生年金に加入し、妻が国民年金に加入している家庭では、「収支のバランス」が合うことになりますし、夫と妻の両方が厚生年金に加入している家庭では、月9万円弱の余裕がある暮らしが可能になるのです。

つまり、「足りない財布」を「減らない財布」にすることができたのです。そこで問題なのは、65歳から70歳まで繰り下げる期間の生活費です。この期間のお金は、老後資金を使えばよいと言うのが、私の提案です。なぜなら老後資金を運用したとしても、年2〜4%での運用でしょう。しかし年金の繰り下げは、年8.2%の増額です。しかも確定です。年金の繰り下げの方が圧倒的に有利です。

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