はじめに

いよいよ8月相場も終わりですが、この8月は歴史に残る月となりました。5日には1987年10月のブラックマンデー翌日の下げを超える、史上最大の下げ幅を記録しました。その前営業日、2日の大幅安も含めれば2日間合計で日経平均は6667円安という未曽有の暴落劇を演じたのでした。


しかし、史上最大の下げとなった8月5日の翌日、6日には史上最大の上げ幅を記録。その後も順調に回復基調を辿って、日経平均は7月につけた高値から5日につけた安値までの下げ幅に対して、半値戻しを達成。その後もさらに上昇し、8月29日現在は3万8000円近辺でほぼ横ばいの推移が続いています。

【日経平均チャート】

出所:マネックス証券サイト

この値動きを見ると、2日、5日に記録した2日間合計で6667円安という下げをすべて取り戻したことがわかります。やはり、「2日間で6667円安」という下げは異常で、異常なことはすぐに修正されたのだと思います。

下げを加速させたのは投資家の心理か

この8月の暴落の背景を振り返ると、概ね以下のようなものであったと思われます。

今回の暴落は複合的な要因が絡み合って起きたものだといえますが、いちばん根本的なものは日銀のタカ派姿勢がサプライズとなり、為替を筆頭とする様々なキャリートレードの急な巻き戻しを誘発したことです。そこに米国の景気指標の悪化で景気後退懸念が強まったことが拍車をかけました。

下落基調が鮮明になったことで、トレンドフォロー戦略(トレンドに追随して先物を売買する戦略)をとるCTAなどマクロ系ヘッジファンドからの売りが急増しました。

さらに下落度合いが一定の水準を超えたため、機関投資家のロスカット、リスクパリティの調整売り、デリバティブ取引に絡む証券会社のヘッジ売り、信用取引で追加証拠金の差し入れを迫られた個人投資家によるロスカットの売り-など様々な売りが一斉に出てきました。

それらの売りは、リスク管理上のルールなどに基づく強制的な売りですが、下げを加速させたのは投資家の心理-恐怖や狼狽による売りが大きかったと思われます。そこには日銀の利上げも米国景気の後退懸念も、もはや関係ありません。ただ下げの大きさだけが取引の誘因です。下がるから売る、売るから下がるという悪循環になり、まさに「下げが下げを呼ぶ」展開となったのです。

したがって、「2日間合計で6667円安」という日経平均の暴落は、ファンダメンタルズから乖離した異常値であり、だからこそ、すでに修正され、その下げは取り戻されているのです。

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