はじめに

がん・脳血管疾患・心疾患を総称して「三大疾病」と呼びます。厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計」によると、日本人の死因の1位が悪性新生物(がん)、2位が心疾患、4位が脳血管疾患と上位を占めています。また、障害が残る場合には治療やリハビリが長くかかり治療費もかさみ、再発の恐れが多い病気でもあります。

誰でも不安を抱えている三大疾病に備える保険選びのポイントを説明します。


なぜ三大疾病に特別な給付金が必要なのか?

三大疾病は、保険商品によっては「特定疾病」と呼ぶ場合もあります。

日本は国民皆保険という制度で守られており、一般的に治療費の実費の3割で治療が受けられますし、高額療養費という制度もあり、病気やケガで入院治療や手術を受ける場合でも生活を脅かすような支払いが請求されることはありません。

それでも、三大疾病に備える保険のニーズが高いのはなぜかというと、三大疾病は、他の病気に比べ完治が難しく、再発のリスクを伴うため、治療や経過観察に長い時間を要するからです。最近では入院日数が短期化され、手術を伴う場合でも1週間程度で退院することが増えています。

とはいえ、退院後の通院治療、リハビリ、経過観察によって、出費はかさみます。また、自宅療養や通院治療などでは、仕事を休まなければならないこともあり、出費に加えて収入減も家計にダメージを与えることになります。そのために、三大疾病の備えは、入院日額にプラスするような備えではなく、罹患した時にまとまった一時金を受取るタイプの特約で備えることが必要になります。

目的に合わせて商品を選ぶ

1. 一生涯の医療保険に三大疾病特約を準備する
長く続く治療、治療により見込まれる収入減など恒常的にかかる費用に備えるためには、医療保険に三大疾病特約をつける方法が適しています。医療保険の特約では、1回の保険金額に上限があり、高額の設定ができませんが、疾病の保障範囲が比較的広く、複数回支払いなどをうまく活用し、一生涯費用負担に備えることができます。

2. 特定疾病が主契約の商品を一定期間準備する
子育て中で、三大疾病により働けなくなることが、家計に大きなダメージをもたらすことが予想できる場合は、一定期間大きな保障を準備できる特定疾病定期が適しているでしょう。三大疾病の疾病の範囲は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中に絞られている場合が多いですが、死亡・高度障害も保障の中に含まれていますし、期間が限られていることで、保険料が安く抑えられることも利点です。家族構成によっては、選択肢のひとつでしょう。

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