はじめに

運用会社の経営面にも注意する

問題は2つめです。たとえマーケットが暴落しても投資し続けられるだけの胆力が身に付いたとしても、投資信託には長期投資を諦めなければならない状況に直面するケースがあるのです。

運用会社は企業ですから、皆さんから集めた資金を運用するのと同時に、運用資産から日々、一定率の信託報酬を受け取って売上を立て、利益を捻出して経営を続けていきます。

では、利益を計上できなくなったら、運用会社はどうなるのでしょうか。最悪、倒産。良くて他の運用会社に吸収されるか、でしょう。なかには個人向けの投資信託事業は脇役で、メインは年金基金などの大きな資金を運用し、全体で黒字を確保している運用会社もありますが、それでも赤字続きであれば、投資信託事業から撤退することも十分に考えられます。

自分の保有しているファンドの運用会社が、このような状況に直面した時、その影響を直接受けるのは、ファンドの受益者です。長期的な資産形成を目的にして購入したファンドの運用会社が存続できないとなったら、運用し続けるための前提条件が崩れてしまいます。

したがって、投資信託を自分で選んで購入するにしても、運用成績だけでなく、それを運用している投資信託会社は今後も長期間、経営を持続できるのかどうかも、併せてチェックしておく必要があるのです。

もちろん設立から間もない運用会社は、最初のうちは運用資産の規模も小さいので、赤字が続くのはある程度、仕方のないことですが、それにも限界があります。設立からある程度の年数が経過しているにも関わらず、運用資産の残高が100億円にも満たない運用会社は、経営の持続性に疑義ありと見るのが妥当でしょう。

これを「投資信託の誤解」という言葉でまとめるのは、いささか違和感ありなのですが、運用会社の経営の持続性まで見ている人は少ないので、指摘させてもらいました。

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