はじめに

アプリケーションやデータベースのための環境を設置する“クラウド”サービスの世界で、アマゾン・マイクロソフト・グーグルというITビッグ企業3社の寡占が強まっています。直近では3社の合計でシェア52%と過半数を占めました。

彼らのシェアが高まっている理由は人工知能。なぜこの言葉がキーワードになるのか、背景を探ってみましょう。


クラウド戦線、異状あり?

直近の報道によると、世界のクラウド市場ではアマゾン(AWS:アマゾン・ウェブ・サービス)のシェアが32%と圧倒的になっています。

この話自体はネット関連サービスに携わる人の間では常識です。アマゾンのクラウドプラットフォームは手間がかからず信頼性が高いと評価されてきました。

ところが今、アマゾンは危機感を強めています。競合のマイクロソフトのシェアは14%、グーグルが6%と、まだ差は大きいですが、彼らが徐々にシェアを高めているのです。

なかでもアマゾンが気にかけているのは、グーグルのシェアが上昇していることだと言います。

グーグルの数字を押し上げているのは人工知能。といっても、読者の方には、クラウド戦線に人工知能がどう関係してくるのかが理解しにくいかもしれません。

実は今、こんなに興味深い競争が起きているのです。具体例から考えてみましょう。

人工知能をどう導入するか

たとえば、飲食チェーン店の本社に勤務しているとしましょう。あなたは新しい顧客サービスとして、スマホアプリに、お店までの道順案内機能をつけようと考えました。具体的にどうしますか?

駅からお店までを案内する場合、これまではお客さまに「アクセス」と書かれた地図ページを開いてもらい、スマホ画面を見ながら自力で来てもらうことが普通でした。

ところが地図を読むのが得意な人は問題ありませんが、世の中にはどうしても“地図が苦手な人”がいます。そんな人に向けては、スマホのGPSで現在地を示し、道順をナビゲーションした方が親切ですよね。

さらに、お客さんがお店に行きたいと思った時に、そもそも新宿店に案内すべきか、それとも中野店の方が近いのか、はたまた職場の近くなら品川店という選択肢もあることをどのように教えるべきか? せっかくスマホが賢くなったのですから、今いる場所に合わせて情報がわかったほうが便利です。

そこで人工知能にこういった案内方法を学習させれば、お客さんの状況に応じて、今までよりも優れた伝え方ができる時代になりました。

では、みなさんがもしアプリ開発担当者だとすると、道順案内ができる人工知能をどうやって開発しますか?

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