はじめに
3週連続で、金利・為替・株価について解説しています。 前回の記事では、「為替」と投資の関係について解説しました。今週は、投資において最も身近な指標である「株価」について解説します。株価が何を表しているのか、どうして変動するのか、株価変動が投資にどのように影響を与えるのかについて、基本的な知識を説明していきます。
株価が変動する理由
「株価」とは、企業が発行している株式の1株あたりの価格のことです。株式を購入して所有するということは、その企業の一部を所有していることを意味します。株価は、投資家がその企業の価値をどのように評価しているかを表しています。
株価は、需給のバランスで決まります。投資家がその企業の株を欲しいと思えば買い注文が増え、価格は上がります。一方で、売り注文が増えれば、価格は下がります。この動きは株式市場という場所で日々、刻々と行われており、リアルタイムで変動しています。
株価の変動は単純な需要と供給だけではなく、さまざまな要因によっても影響を受けます。まず企業の業績です。企業の業績は、株価に最も直接的な影響を与える要因の一つです。例えば、四半期ごとに発表される決算で、売上や利益が市場予想を上回ると、その企業の株価は上昇しやすくなります。逆に、業績が悪化したり、将来の成長見通しが暗い場合は、株価が下落することがあります。
投資家は、現在の業績だけでなく、その企業が今後も成長し続けられるか、という成長性にも注目します。そのため発表された企業の足元の業績が堅調でも、将来の見通しが予想より悪かったり、期待が大きすぎてすでに株価が上がっているのにその期待に届かない場合などは、株価が上がらない、または下がることもあります。
さまざまな状況で変動
株価は、個別企業の業績だけでなく、経済全体の状況にも大きな影響を受けます。景気が好調な時期には、多くの企業の業績が向上するため、株価全体が上昇しやすくなります。逆に、景気が悪化すると、多くの企業が影響を受け、株価は下落する傾向にあります。例えば、2008年のリーマン・ショックや2020年の新型コロナウイルスのパンデミック時には、経済全体が混乱し、世界中の株式市場が大きく下落しました。
加えて第1回の記事で説明したように、金利も株価に影響を与えます。一般的に、金利が上昇すると、株価は下落しやすくなります。なぜなら、金利が上がると、企業の借入コストが増加し、利益が圧迫されるからです。また、金利が上昇すると、安全資産である債券が魅力的になり、株式から債券へ資金がシフトすることも、株価の下落につながります。
政治的要因も株価に影響を与えます。例えば、選挙の結果や、政府の経済政策、新しい法律の制定などが、企業の業績に影響を与える場合があります。税制の変更や規制緩和、政府によるインフラ投資など、政府の方針が企業に好影響を与えると予想される場合、株価は上昇することがあります。
貿易摩擦や政情不安が高まると、株価は下落することがあります。たとえば、米中貿易戦争の際には、米中貿易戦争によって両国の企業業績の先行きが悪くなるのではないかという不安感から株価が大きく下落しました。
株価は、投資家の心理にも大きく影響されます。ニュースや噂、あるいは短期的な感情によって、投資家は株を買ったり売ったりすることがあります。