はじめに
日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)は10月22日、10日連続の「陰線(いんせん)」となりました。
陰線とは、株価の動きを表すローソク足チャートで、始値よりも終値が低かった場合の形状です。ローソク足は、始値、終値、高値、安値といった4本値で構成されますが、始値よりも終値が安く引けるとそのローソクの本体を一般的に黒で表すことから「陰線」と呼ばれます。
反対に始値に比べて終値が高かった場合は一般的に白で表示され「陽線」と呼ばれます(ローソクの色は白黒が一般的ですが、赤青などで表示する場合もあります)。
米国景気が堅調、米国株も最高値でも日本株の上値が重い
その陰線が10日も続いたのです。10日連続は日経平均が2012年4月25日~5月16日(13日連続)以来、TOPIXは2021年9月27日~10月8日(10日連続)以来の長さです。本稿を執筆しているのは10月23日なので、今日の結果はわかりませんが、仮にTOPIXが23日も陰線を引くと11日連続となり、記録的にはさらに遡って1992年3月3~18日(12日連続)以来となります。
始値より終値が低い陰線は取引終了にかけて、売り圧力が強まったことを示唆しています。上値を買えない、上値が重い状況を示しており、相場の沈滞ムードを反映していると思われます。では、この上値の重い展開は何によるものなのでしょうか?
外部環境を見ると米国株市場ではNYダウ平均が再び最高値を更新しています。10月22日の外国為替市場でドル円相場は一時151円20銭近辺と7月下旬以来、約3カ月ぶりの円安・ドル高水準をつけました。その背景にあるのは米国景気の強さです。
米国景気は一時、リセッション入りが懸念されていましたが、最近の経済指標の堅調さなどからソフトランディング期待が高まっています。米国景気が堅調、米国株も最高値をつけ為替も円安です。これだけの外部環境の好調な条件がそろっても、日本株の上値が重いのは日本固有の悪材料があるからでしょう。考えられるのは、ずばり、衆院選への不安です。