はじめに

10.負債比率とD/Eレシオ

負債比率は、総負債を総資産で割ったもので、D/Eレシオ(Debt to Equity Ratio)は、総負債を自己資本で割ったものです。企業の財務リスクを評価するために用いられる指標となり、負債比率やD/Eレシオが高すぎると、金利上昇や経営環境の悪化時に財務の安定性が損なわれる可能性があるので、さらっとで良いので見ておきましょう。

11.営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、企業の本業による現金の流れを表すものです。営業キャッシュフローが安定してプラスの企業は、日々の事業活動からしっかりと現金を生み出していると考えられ、財務の健全性が高いと評価できるといえます。キャッシュフロー計算書を分析することで、利益計算だけでは見えない、現金の流れを掴むことができます。

12.企業の成長率

過去数年間の売上高、営業利益、純利益の成長率を分析することで、企業の成長性を評価できます。特に、新興企業や成長産業においては、高い成長率が期待されます。ただし、過去の成長が将来も続く保証はないため、市場環境や競合状況も考慮に入れる必要があります。特に長期投資では年単位でどのように成長しているのかもチェックすべきだと思います。

13.流動比率と当座比率

流動比率は、流動資産を流動負債で割ったもので、短期的な支払い能力を評価します。一般的に、流動比率が200%以上であれば安全とされています。当座比率は、流動資産から在庫を差し引いたものを流動負債で割ったもので、より厳格な短期支払い能力の評価となります。

14.1株当たり純資産(BPS)

BPS(Book-value Per Share)は、自己資本を発行済み株式数で割ったもので、一株当たりの純資産を示します。BPSが増加している企業は、内部留保を積み増しており、財務の健全性が向上していると判断されます。

15.株主資本比率

株主資本比率は、自己資本を総資産で割ったもので、企業の資本構成を評価します。この比率が高いほど、自己資本による経営が行われており、財務の安定性が高いとされます。一般的に、株主資本比率が50%以上であれば財務体質が健全と判断されます。

16.企業の格付けと信用リスク

信用格付け機関が公表する企業の格付けは、財務の健全性や債務返済能力を評価する上で有用です。格付けが高い企業は、資金調達コストが低く、経営の安定性が高いと評価されますので、格付けや目標株価等が変わると株価に影響があります。格付けは過去の情報に基づくため、最新の動向にも注意が必要です。

17.業界平均との比較

企業の財務指標を分析する際には、業界平均や主要な競合他社との比較が重要です。同じ指標でも、業種やビジネスモデルによって適正値は異なります。例えば、資本集約型の製造業とサービス業では、適切なROEや負債比率が異なります。同業他社と比べてどうなのかと言うところは押さえておきたいところです。

18.経営指標と非財務情報

財務指標だけでなく、企業の経営戦略、ガバナンス体制、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みなどの非財務情報も重要です。これらは、長期的な企業価値やリスク管理に影響を与えます。ホームページを見てチェックすることも大切だと思います。

19.企業のビジネスモデルと市場ポジション

数字の背景にあるビジネスモデルや市場でのポジションを理解することも重要です。どのような競争優位性があるのか、参入障壁が高いかどうか、製品やサービスの差別化が図られているか、独自の強みがどのようなところにあるのか、顧客は?など、定性的な分析も行いましょう。特に長期投資の場合は定性面の強みのある銘柄を選ぶと言うのも1つの大きな選択肢になると思います。

20.リスク要因の分析

企業固有のリスク要因や業界全体のリスクも考慮に入れる必要があります。例えば、法規制の変更や技術革新のほか、足元では円安が懸念される中で為替リスクや、インフレ時代突入で原材料価格の変動などが企業の業績に影響を与える可能性があることも頭に置いておきたいところです。

個別株の投資判断には、多角的な視点からの分析が求められます。投資は自己責任であり、リスクを伴う行為です。十分な情報収集と分析を行い、自身の投資目的やリスク許容度に合った企業を選択することで、長期的な資産形成を目指しましょう。

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