はじめに
「IP(知的財産) ビジネス」という言葉は、投資家にとってたびたび目にする注目ワードでしょう。今回は改めてIPビジネスの成長要因と投資対象としてのポイント、具体的な銘柄についてお伝えします。
IPビジネスは“ジャパニメーション”と切り離せません。
ジャパニメーションは、鉄腕アトムなど手塚治虫作品や宮崎駿さん率いるスタジオジブリ作品などによって1980年代後半には国際的な認知を得るようになったようです。
2010年の経済産業省のクールジャパンの取組みをきっかけに知った方もいらっしゃるかと思います。2015年12月にクールジャパン戦略について内閣府が「クールジャパン官民連携プラットフォーム」を設立。2024年には政府が5年ぶりに「クールジャパン戦略」を改定。日本文化のコンテンツ関連の産業を成長させ、2033年までに50兆円の海外展開を目指すことを当時の岸田首相が表明するなど政策関連としても注目できます。
そして直近の決算を見てもIPビジネスが再び急成長してきていることが見て取れます。ほかにもマリオやハローキティ、ポケモンなど日本初の世界的な人気キャラクターは多いですし、近年では『鬼滅の刃』や長編アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』など日本のアニメやゲームが世界的に高い評価を受けていることをご存知かと思います。
海外市場での展開が進むなかで多くの企業がIPを活用した事業を拡大し、業績を伸ばしています。
IPビジネス成長の背景
IPとはIntellectual Property(知的財産)の略です。IPビジネスが成長する背景としては、まずグローバル市場で日本IPの強みを発揮していることが挙げられるでしょう。
日本のアニメやゲームは長年、独自の表現力とストーリーテリング技術を磨いてきました。その結果世界中に多くのファンを獲得しており、ストーリー自体がIPとして輝いています。
近年はスマホの普及でデジタル面で発展し、NetflixやDisney+などの動画配信サービスの急成長によって日本のアニメ作品が容易に海外に配信されるようになりました。これにより国内市場だけでなく、海外からの収益機会も増えたことも日本のIPの追い風となっています。特にアメリカや中国などの大市場では、日本アニメに対する需要が急速に拡大しています。
IPビジネスの強み
IPビジネスの強みは、一つのコンテンツをさまざまな形で収益化できることです。
例えば、アニメやゲームのヒット作は、映像作品の配信・放送(映画館・テレビ放送・動画配信サービスなど)のみならず、スマホゲームや家庭用ゲーム機などのゲームになったり、フィギュアやぬいぐるみ、アパレルなどキャラクターグッズになったり、テーマパークになったり、コラボカフェ、ライブイベントなどのイベントでも稼げます。
加えて他企業とのコラボ・広告契約などのライセンス契約も収益になります。このように多様な収益源を持つため、中長期的に利益を生み出すビジネスモデルを構築できる可能性があります。
さらに人気キャラクターのNFT販売やメタバース内でのIP活用など、新しい形の収益モデルも登場していて、デジタル領域の成長がIPビジネスのさらなる拡大を後押しする要因となる期待感もあるでしょう。
ではここからはIPを活用して成長している具体的な企業と銘柄について見ていきます。