はじめに

先週、株価の上昇がひときわ目立ったのが住友不動産(8830)です。同社は、住友グループの中核企業である総合不動産会社で、ビルやマンション戸建住宅などの開発・賃貸、宅地の造成・分譲、不動産の売買・仲介・鑑定などの事業を行っています。

なぜ、株価が上昇したのでしょうか?


物言う投資家、エリオット・インベストメント・マネジメントとは

理由は、アクティビスト(物言う投資家)として知られる米ヘッジファンド運営会社エリオット・インベストメント・マネジメント(以下、エリオット)が同社株を取得したことでした。エリオット・インベストメント・マネジメントが住友不動産に対し、株主価値の向上策について協議しているという内容でした。協議の詳細は明らかになっていないものの、保有不動産や政策保有株式の売却などを迫り、売却資金から株主還元の強化を訴えた可能性があるように感じます。

エリオットは、世界で最も影響力のあるヘッジファンドの一つとして知られています。1977年にポール・シンガーによって設立されて以来、同社は独自の投資戦略とアクティビストの姿勢で金融界にその名を轟かせてきました。このヘッジファンドは、企業の価値を最大化するために経営陣の変更や株主還元強化を求めることで知られています。潜在的な投資先の財務状態、業界の動向、およびマクロ経済的要因を詳細に分析することでも有名です。

三井不動産の株式も取得

実はエリオットは、2024年から日本の不動産を保有する企業への投資を進めていました。2024年2月、エリオットによる三井不動産(8801)の株式取得が報じられました。それにより三井不動産が保有する東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(4661)株の売却を求めました。三井不動産は、オリエンタルランド株を23年9月末時点で約1億株(発行済み株式数の6%)を保有しており、当時の時価で5000億円程度です。

エリオットの要求に応じるように、三井不動産は、2024年4月に長期経営方針を策定し、自己資本利益率(ROE)を2022年度の6.9%から2026年度に8.5%以上とする目標も掲げました。2026年度までの財務戦略では「累進配当」を導入し、配当性向は毎期35%程度、自社株取得を含む総還元性向は同50%以上と明記しました。

また、2026年度までの3年間で固定資産などの売却を通じて2兆円程度の資産回収を見込むほか、保有する政策保有株を50%削減する方針も公表しています。

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