コンビニ一人勝ちは本当? 統計に浮かぶ消費の実像
小売業界の3大業態を分析
先週、コンビニ、スーパー、百貨店の各業界の2017年の年間統計が相次いで発表されました。コンビニは13年連続の増収で、過去最高の売上高を更新。一方、百貨店とスーパーマーケットは前年比で減収となりました。最近の生活を振り返ってみて、百貨店やスーパーで買い物をする機会がめっきり減って、買い物といえばもっぱらコンビニかネット通販になっている、という方も多いと思います。いわば、生活者の実感値に近い結果が出た形です。しかし、それぞれの統計をつぶさに見ていくと、表面的な数字ではわからない、小売業界の実情が浮かび上がりました。消費の最前線で何が起きているのでしょうか。
好景気はいつまで続く?「倒産動向」に浮かぶ不安の影
件数は9年連続マイナスだけど…
1月18日、日経平均株価が一時、2万4,000円台を突破しました。1991年11月以来、約26年2ヵ月ぶりの大台回復となりました。企業業績も好調そうですので、当然といえば当然なのですが、この先の景気動向を占ううえで参考になるのが「企業の倒産情報」です。信用調査会社の東京商工リサーチが2017年通年の倒産状況をまとめたレポートを1月16日に発表しました。これによると、2017年1~12月の倒産件数は8,405件。前年が8,446件でしたので微減、前年比でマイナスになるのは9年連続です。負債総額は、2016年が2兆0,061億円だったのに対し、2017年が3兆1,676億円。6割近く増えた計算になります。これは自動車用安全部品大手のタカタが民事再生手続きの開始を申し立て、その負債総額が1兆5,024億円もあって、1社で引き上げているからです。タカタの分を差し引くと、負債総額は1兆6,652億円になりますから、17%ほど減った計算になります。それでは倒産件数も負債総額も減って景気は安泰かというと、そうとも言い切れないのです。
袋麺市場で「サッポロ一番」がトップに返り咲いたワケ
一時は「マルちゃん正麺」が首位奪取
お正月気分も抜け、読者の皆さんの食生活も普段通りに戻ったのではないでしょうか。おせち料理や新年会の食事に飽きたこの時期、無性に恋しくなるのがインスタントラーメンです。中でも袋入りのインスタントラーメン(袋麺)は、手軽に調理できる食材として、常備しているご家庭は少なくないでしょう。単体ではジャンクフードですが、山盛りの野菜炒めやゆで卵などを添えれば、バランスのとれた立派な一品になります。その袋麺市場でシェア争いが激化しています。きっかけは2011年に発売されたある商品なのですが、現状はどうなっているのでしょうか。
田園調布は何位? 「社長の住む街ランキング」に異変あり
伸びるタワマン、落ちる高級住宅街
東京であれば田園調布や成城、関西であれば芦屋や帝塚山……。お金持ちが住む街といえば、皆さんはどの街を想像するでしょうか。信用調査会社の東京商工リサーチが面白い調査結果を発表しています。題して「全国社長の住む街調査」。同社が持つ企業データベース約297万社の代表者データから、社長の居住地を抽出してランキングにまとめたものです。この中には個人企業や零細企業も含まれていますから、297万社の社長全員がお金持ちというわけではないとは思います。ですが、全体としては高額所得者が住む街とイメージが重なるだけに、興味をそそられます。実際に社長が住んでいる街は、われわれのイメージ通りなのか、それとも異なっているのか。気になる調査結果を見てみましょう。
チケキャン停止の余波、メルカリ「専用取引」にご用心
年末年始のコンサートを直撃
年末年始といえば、有名アーティストのコンサートが数多く開催される時期。お目当てのチケットを手に入れられなかった人が、行けなくなった人や不要になった人からネット上などでチケットを譲ってもらう光景は、風物詩となった感もあります。ただ、今年はいつもと少し様子が違います。原因は、国内最大のチケット取引サイト「チケットキャンプ(チケキャン)」のサービス停止です。そして、この事態がフリマアプリの「メルカリ」に、思わぬ余波を広げています。ネット上でのチケット取引に何が起きているのでしょうか。意図せぬルール違反に陥ってしまわないために、気を付けておくべきことがあります。
あなたの実家も無縁ではない? 「地面師」犯罪の実態
数千万円の物件でもターゲットに
今年も残すところ、2週間ほど。この1年、さまざまな経済事件が世間を騒がせましたが、夏以降に話題となったのが、他人の土地を利用して詐欺を働く「地面師」による犯罪です。積水ハウスやアパホテルなど不動産のプロがだまされたことから、多くのメディアで取り上げられました。自分には縁がないニュースととらえた方も少なくないと思いますが、実はそうでもないのです。地面師グループのターゲットは数十億円規模の物件だけではありません。ごく普通の一戸建てでも、場所が良ければ数千万円クラスの物件もターゲットになっています。近くにランドマークができて突然一等地になってしまったような場所や、再開発の対象になりそうな場所に実家がある。しかも、そこには年老いた親が1人で住んでいて、訪ねていく機会も多くない、あるいは空き家になっているとなると、格好のターゲットです。気づかないうちに自分の、もしくは自分の親の不動産が勝手に売買されていたという話は、自分とは無縁の資産家だけの話ではないのです。年末年始の帰省を控えた方が多いこの時期に、地面師犯罪の実態を探ってみましょう。
「リッツ」そっくりの商品が店頭に並び始めたワケ
“仁義なき戦い”は2年目に突入
誰もが一度は食べたことがある「ナビスコリッツ」。そのリッツにそっくりなクラッカーが12月1日に発売されました。その名は「ルヴァン プライム スナック」。販売元はヤマザキビスケット(YBC)という会社です。そっくり商品はこれだけではありません。あの「オレオ」によく似た「ノアール」というクッキークリームサンドも、同日にYBCから発売されています。なぜ、こんな事態になっているのか。理由を調べてみると、昭和のメロドラマのようなドロドロした事情が潜んでいました。
知名度抜群の「完全養殖マグロ」を店頭で見かけない事情
水産大手が相次ぎ参入のはずが…
日本人がこよなく愛するクロマグロですが、乱獲が続いた影響から、太平洋に生息するクロマグロは絶滅危惧種に指定されています。そこで昨今、漁業関係者からの期待が集まっているのが完全養殖マグロです。実際、総合商社や水産大手が相次いで完全養殖事業への参入を表明しています。こうした企業の養殖したマグロが市場に出回ってくれれば、私たちも気がねなくクロマグロを食べられるようになるはず。ところが、事態はそう簡単ではありません。大手企業が相次いで出荷を開始しているものの、その流通量が増えてくるにはまだまだ時間がかかりそうなのです。何がネックになっているのでしょうか。
アパレル業界で異色の成長、「ワークマン」の奥深い世界
ユニクロやしまむらの苦戦はどこ吹く風
今、日本のアパレル業界は服が売れず、軒並み苦戦を強いられています。ファーストリテイリングは、国内ユニクロ事業で本業の儲けを示す営業利益が前期比6.4%のマイナス(2017年8月期)でしたし、しまむらも前年同期比5.2%の営業減益(2017年度上半期<3~8月期>)でした。そんな中で異例の成長を遂げているのが、ワーキングウエアのワークマンです。2017年度上半期(4~9月期)は売上高、営業利益とも前年同期と比べて6%台の増加となっています。一体、何がワークマンの好調を支えているのでしょうか。
アナタの知らない「ミシン大国ニッポン」の実情
世界シェア上位4社のうち3社が日本
今年も間もなく年賀状のシーズンが到来します。年賀状といえば、欠かせないのがプリンターです。家庭用のシェアではエプソン、キヤノンが2強で、3番手がブラザー工業というのが国内市場の構図ですが、このブラザー、もともとはミシンメーカーです。1970年代半ばくらいまでは、日常的にミシンを使い、家族の服を縫っているお母さんは珍しくありませんでした。しかし、高品質の既製品が安く手に入るようになると、一般家庭におけるミシンの需要は徐々に低下。今や日常的にミシンを使っている家庭は稀有な存在となっています。それならブラザーも細々と作っているだけかというと、そうではありません。ミシン事業は今なお健在なのです。同社をはじめとした日本メーカーがつむいできた、ミシンの歴史と強みをひも解いてみましょう。
発売30年「サトウのごはん」が初の値上げに踏み切る事情
ロングセラー商品に何があったのか
皆さんは「玄関開けたら2分でごはん」というフレーズを覚えていますか?レンジで2分加熱すればホカホカのご飯ができあがる「サトウのごはん」のテレビCMです。その製造元であるサトウ食品工業が、一部商品の希望小売価格の引き上げを発表しました。発売から30年が経過したロングセラー商品が値上げされるのは、今回が初めて。なぜ、このタイミングなのか。初の値上げの背景には、どんな理由が隠されているのでしょうか。
ハンバーガー戦国時代、勝ち残りのカギは「〇〇感」?
主要チェーンの商品を比較分析
ハンバーガーチェーン各社が出店攻勢を計画しています。背景にあるのは、どうやら最大手であるマクドナルドの復活。でも、客層の中心を占める若年層は減少傾向にあります。はたして、各社の思惑は吉と出るのでしょうか。主要チェーン各社の定番商品の比較から、ハンバーガー市場の現状を分析。成長のカギがどこにあるのか、考えてみましょう。
アサヒが10年ぶりに瓶ビールを値上げする“意外な事情”
原因は原材料や人件費ではなかった
相手に注いでもらったら、今度は自分が注ぎ返す――。居酒屋や会食の席でコミュニケーションの潤滑油となっているのが、瓶ビールです。夜の付き合いに欠かせないこの商品が、来年春から値上げされることになりました。お酒好きには何とも残念なお知らせですが、その理由をよくよく調べてみると、私たちがイメージしやすい「原材料価格などが上昇したことに伴う値上げ」ではないことがわかりました。瓶ビールが値上がりすることになった“意外な事情”をひも解いてみましょう。