コロナショック下でも上場企業の「株式売り出し」が減らない事情
中止したのはわずかに1社
新型コロナウイルスの影響で、株式市場は大変なことになっています。2月4週目の中頃から3月1週目辺りまで日経平均株価はまだ何とか2万円台を維持していましたが、2週目に入ると急降下を始めました。これを受けて、3月中に新規上場を予定していた28社のうち、26日上場予定だったウイングアーク1st、24日上場予定だったペルセウスプロテオミクス、18日上場予定だったFast Fitness Japanの3社が、3月2週目に相次いで上場辞退を申し出ています。
「コロナで中止」が商機に? 参加者ゼロのイベント配信サービスが続々登場
感染拡大に負けない、たくましい商魂
新型コロナウイルスの影響で、アーティストのライブや各種のイベントがことごとく中止に追い込まれています。企業への影響も甚大です。春に向けて重要なこの時期、新製品の記者発表を控えていた企業も少なくありません。新卒採用でも3月1日から採用情報公開・エントリー受付が始まるタイミングでしたから、会社説明会を開催できなくなるなどの影響が出ています。こうした中で、中止もしくは延期になったイベントを、参加者ゼロでネット配信するサービスもいくつか登場しています。
築10年超マンションの時限爆弾、「給湯管ピンホール」の知られざる恐怖
多くのマンション住民にとって他人事ではない
2月28日、政府がマンション管理適正化法などの改正案を閣議決定しました。老朽化が進む中で修繕積立金が不足している、あるいは、住民の高齢化が進み、理事会が機能しなくなっているなどの理由で、適切な管理が行われていない物件に対応したものです。一方で、築30年、もしくは40年を越えるマンションでも、定期的に適切な修繕が行われ、適正に管理されることで、今も市場価値を維持している物件はたくさんあります。そんな真っ当な中古マンションで最近、ある問題が多発しています。その問題とは、給湯管に突然「ピンホール」と呼ばれる針の穴ほどの大きさの小さな穴が開き、そこから吹き出たお湯が階下の住戸に漏水被害を与える事故です。加害者となった住戸の住民が多大な負担を余儀なくされていることは、あまり知られていません。
広島カープのチケット販売が“例年以上に物議をかもす”悩ましい事情
「ファンを新型コロナ感染の危険にさらすな」
「3月1日に予定されている広島東洋カープ公式戦のチケット販売方法は、ファンを新型コロナウイルスに感染する危険にさらす所行。是非とも中止すべき」広島東洋カープの本拠地、広島市でスポーツ専門のネットメディア「ひろスポ!」を運営している田辺一球氏は、強い論調で疑義を呈します。本稿を執筆している2月28日16時時点で、カープのチケット販売は予定通り実施されることになっています。チケットを販売するだけの行為が、なぜファンを新型コロナウイルスに感染する危険にさらすことになるのか。そこには、この球団固有の事情が深く関係しているのです。
「いきなり!ステーキ」でJCBが使用不可に? ネットに飛び交う“窮地説”の真実
「クレカ会社から見放された」は本当か
ステーキチェーンの「いきなり!ステーキ」でJCBカードが使えなくなったということが、1月下旬にネット上で話題になりました。「いきなり!ステーキ」といえば、運営会社であるペッパーフードサービスの株価が業績悪化の影響で1年間で3分の1になるなど、何かと話題になっている最中。それゆえ、クレジットカード会社からも見放されたかのような書き込みも散見されました。はたして、真実はどうなっているのでしょうか。
串カツ田中、“尻すぼみ決算”に株式市場もガッカリ?
高成長の外食企業に何が起きたのか
串カツ田中ホールディングスが1月14日、2019年11月期の決算を発表しました。結果は、売上高が前期比30.6%増と大きく伸びた一方、本業の儲けを表す営業利益は同8.1%増と小幅な伸びにとどまり、当期純利益は同3.1%減と前期を下回りました。それでも、期初時点の計画よりはすべて上ブレて着地しました。多くの外食産業が苦戦を強いられる中、立派な成績ではあります。しかし、この結果に対し、株価はほとんど反応しませんでした。決算発表と同時に、投資家ウケが良い自己株取得の実施を発表しているにもかかわらず、です。この会社は月次の売上高、客数、客単価を毎月上旬に発表しています。11月の実績は昨年12月4日公表の月次実績でわかっていましたから、決算に関しては株価にはすでにこの時点で織り込み済み。本来なら、自己株取得を材料にもう少し上がっても良いはずでした。串カツ田中の成長にかげりが見えているという報道も目立ちます。この成績でも厳しい評価を受ける――。それだけ市場の期待値も高かったということではあるのですが、串カツ田中に今、何が起きているのでしょうか。
「支払わないとブラック登録」はウソ、「Paidy悪用詐欺」の根本的問題
後払いサービスの盲点を突いた犯行
成人の日の3連休明け辺りから、後払いサービス「Paidy」を悪用した詐欺事件が話題になっています。フリマアプリで買い物をしたら、同じ商品の請求書がPaidyからも届き、二重払いをさせられるのではないかと不安に駆られた人たちが、ネット上で被害を報告。一気に情報が拡散し、テレビのワイドショーでも大きく取り上げられました。しかし、取り上げ方が中途半端で、請求書を受け取った人たちの不安を煽るような書き込みも散見されます。そこで、もう少し詳細に問題を整理してみたいと思います。
初値は公募価格の3倍、“アナログなスポーツ人材斡旋企業”が株式市場で人気のワケ
2019年最後のIPO銘柄
昨年12月26日、2019年のIPO(新規株式公開)の“トリ”を務める形で、東証マザーズにユニークなベンチャー企業が上場しました。「スポーツフィールド」という会社です。やっていることは人材斡旋。業種そのものは極めてオーソドックスですが、最近新規に上場した会社の中でも人気は高く、上場初日は買いが殺到し、取引が成立しませんでした。上場2日目になってようやく初値がつきましたが、その価格は8,500円。公募価格2,730円の実に3倍でした。株価の騰勢はすぐに落ち着きましたが、それでも上場5営業日目に当たる1月7日終値は7,370円で、公募価格の2.7倍。PER(株価収益率)は51.16倍、PBR(株価純資産倍率)は18.83倍という人気ぶりです。同社の成長性への期待値がそれだけ高いわけですが、投資家を惹き付けているものは何なのでしょうか。
ユニゾ買収合戦、“奥の手”EBOでも簡単に決着しそうにない理由
ドラマの世界の買収劇が現実に
ユニゾホールディングス(HD)という、一般にはあまり知られていない上場会社が、何社もの熱烈な買収希望者が同時に現れる“超モテ期”に突入しています。買収合戦が始まる前の同社の株価は2,000円を割り込む水準でしたが、買収企業候補が現れるたびに上昇し、現在は5,000円超に到達。事態が混沌とする中、ついに買収側としてユニゾの従業員が名乗りを上げました。いわゆるEBO(従業員による買収)です。もし実現すると、日本の上場企業としてはEBOの初事例となります。ドラマや小説でないとなかなかお目にかかれない、この買収手法。はたして、これで一件落着となるのでしょうか。
酒販チェーン「カクヤス」、街の酒屋が1000億円企業になれたワケ
創業99年目の新規上場の投資妙味
12月は、1年の中でも新規に上場する社数が最も多い月です。今年も昨年より1社多い21社が12月中に上場する予定です。その中に、7~8年前から証券会社が上場主幹事の座を狙う“有望上場予備軍”として位置づけられていた企業の名前がありました。23日に上場した、酒類販売チェーンの「カクヤス」です。創業は1921(大正10)年。直近のIPO(新規公開)銘柄の中では突出して古い歴史を持ち、年商規模も1,000億円と、他の銘柄とはケタ違いです。なぜ街の酒屋さんが、ここまで大きく成長できたのでしょうか。
ウルトラマン、怪獣よりも手ごわい「著作権」20年闘争
人気シリーズの海外展開に新たな動き
1966年の誕生から50年以上経っても、今なお新シリーズが制作され続けている「ウルトラマン」シリーズ。海外でもテレビ版が放送され、映画も公開されている、日本発のグローバルコンテンツの1つです。来年1月11日からは新シリーズ「ウルトラマンクロニクル」のアニメ放送が始まります。そんな人気コンテンツに、新たな動きがありました。同シリーズの著作権を保有する円谷プロダクションが12月10日、「米国訴訟(控訴審)の勝訴判決に関するお知らせ」というリリースを公表したのです。日本が誇る人気コンテンツが、なぜ訴訟沙汰に巻き込まれているのでしょうか。ウルトラマンシリーズを生んだ円谷プロダクションという会社は、実に数奇な運命をたどってきました。
主婦向けジム「カーブス」が株式上場、その手法が“変則技”なワケ
「スピンオフ税制」で全株売却
主婦層を主なターゲットとする30分フィットネス「カーブス」の運営会社・カーブスホールディングス(HD)の株式を上場する計画が進められています。主導するのは、「カラオケまねきねこ」などを運営し、カーブスHD株を100%保有する親会社であるコシダカHDです。実は、その上場手法が実にユニークということで、株式市場で注目されています。なぜコシダカHDはカーブスHDを手放すことにしたのでしょうか。その真意と手法をひも解いてみます。
マイナー鉄道「相鉄」が「タモリ倶楽部」で取り上げられるまでの一部始終
鉄道会社がここまで熱を入れるワケ
11月30日、相模鉄道(相鉄)とJRの相互直通運転が始まります。相鉄は大手私鉄の一角でありながら、神奈川県内にしか路線がありません。東京都心への乗り入れは長年の悲願でしたから、今回の相互直通運転は一般の経済メディアでも盛んに取り上げられています。その相鉄が、このたびテレビ番組の「タモリ倶楽部」に取り上げられました。それも、先週金曜日(11月22日)と開業前日となる本日(11月29日)の2週連続企画です。他の大手私鉄に比べると、必ずしも知名度が高いとはいえない相鉄。そんなマイナー鉄道が人気番組で取り上げられるまでには、どんな紆余曲折があったのでしょうか。 【写真】どれだけ知っている?相鉄線を走る車両の数々
家電量販にも広がる「時価販売」、消費者のメリットは大きい?
観光の値上がりイメージが強いけれど…
家電量販店大手のノジマが10月21日、184ヵ所ある全店舗にダイナミックプライシングの導入が完了したことを公表しました。需給に合わせて随時価格が変わるダイナミックプライシングは、ホテルやエアラインではかなり以前から導入されています。小売りの世界でも、Amazonではすでにお馴染みですが、リアル店舗ではまだまだ珍しい存在です。ノジマによれば、100店舗以上を展開する小売り大手としては、全店導入は国内初だそうです。年末年始や連休などの時期に、ホテルやエアライン、長距離バスなどの価格がハネ上がるので、「価格を上げる」ことで事業者が儲かるイメージのほうが強いですが、実際のところは「価格を下げる」ほうに、より高い効果があるようなのです。
個人投資家が参考にすべき「優良IR企業」ランキング全18分類
“企業分析のプロ”に学ぶ
毎年恒例の「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業」が、10月9日に発表されました。日本証券アナリスト協会のディスクロージャー研究会が、毎年この時期に約3,700社ある上場会社の中から選定・表彰していて、今年で25回目になります。“企業分析のプロ”である証券アナリストの目から見て優良と評価できる企業のIR姿勢は、個人投資家にとっても今後の投資判断の参考になるはずです。今年はどんな会社が表彰されたのでしょうか。
安くて2000円前後、「忘れ物防止タグ」はどんな人だとお買い得?
どんな人ならメリットがある?
周囲に必ず1人はいる、「しょっちゅうモノを探している人」。鍵や財布など、大事なモノをひょいとどこかに置いてしまい、わからなくなってしまう人は、洋の東西を問わず一定割合います。そんな「しょっちゅうモノをなくす人」向けの「忘れ物防止タグ」が、Amazonや大手量販店で売られているのをご存知でしょうか。使い方は簡単で、スマートフォンに専用のアプリをインストールし、なくしたら困るモノにタグを取り付けたり、貼り付けたりしておくだけ。ただし、価格は安いもので1個2,000円前後から。何個も付けようと思うと、数千~1万円を超える投資になります。はたして、このタグはお買い得な代物といえるのでしょうか。
中華チェーン「日高屋」が“餃子リニューアル”に並々ならぬ力を入れる理由
一口サイズで赤身肉メインに変更
日本中が消費増税で良くも悪くも大いに盛り上がった10月1日。中華料理店チェーン「日高屋」が看板メニューの一角をリニューアルして発売しました。老若男女、大好きな人が多い「餃子」です。9月30日の23時45分から24時には、先着100名限定で新・旧の餃子が無料で食べられる、「ゆく餃子・くる餃子カウントダウン」を東銀座店で実施。テレビ局の取材も入り、キー局のうち、取材に来なかったのはNHKとテレビ朝日だけだったそうです。日高屋が今このタイミングで並々ならぬ力を注ぐ、餃子のリニューアル。その理由はどこにあるのでしょうか。
2年で台数11倍、「ノッポなタクシー」が急に普及し始めたワケ
都内では6000台以上が走行中
最近、頻繁に見かけるようになった、ちょっと背が高いハッチバック型のタクシー。2017年にトヨタ自動車が発売した、その名も「トヨタジャパンタクシー」というタクシー用に開発された車両です。日産自動車も同様の車種を製造していますが、このトヨタジャパンタクシーの市場占有率は9割に迫るといわれています。街中で見かけるこのタイプの車両の大半は、これだといって良いでしょう。よく見かけるようになったのは、実際にものすごい勢いで普及しているから。セダン型の車両がタクシー用に普及し始めたのは1960年代前半ですから、かれこれ60年近くタクシーといえばセダンでしたが、4年後にはこのタイプにほぼ入れ替わるとすら言われているのです。なぜそんな事態になっているのか、ひも解いてみます。