「文字」よりも先に「簿記」が生まれた!?
簿記の歴史物語 第2回
「簿記」というと、狭義には「複式簿記」を指します。資格試験のために勉強するのは、こちらです。複式簿記とは何ぞや?と思ったら、この私、Rootport原作のマンガ『女騎士、経理になる。』を読んでいただけるとうれしいです。一方、広義の「簿記」は、経済的な取引を記録する手法全般を指します。小学生のお小遣い帳や、みなさんが心を砕いている家計簿も、広義には簿記と呼べます。日本の政府や役所は集めた税金とその使い道を記録していますが、これも広義には簿記です。これらは「単式簿記」と呼ばれます。とにかく取引を帳簿に付けていれば、それは簿記なのです。では、広義の「簿記」はいったいいつ頃生まれたのでしょう?「簿記の歴史物語」を謳うなら、まずはここから話を始めなければなりません。ところが、簿記の成立史を追っていくと、文明誕生の時代までさかのぼってしまいます。
レオナルド・ダ・ヴィンチと複式簿記の意外な関係
簿記の歴史物語 第1回
レオナルド・ダ・ヴィンチといえば、『モナ・リザ』や『最後の晩餐』で知られる芸術家です。彼は偉大な発明家であり、科学者であり、ルネサンスの時代を代表する万能人でした。そんな彼と複式簿記との意外な関係を、みなさんはご存じでしょうか?初めまして、Rootportと申します。『女騎士、経理になる。』というマンガの原作を書いている者です。このコラムでは歴史の物語を通じて、縁遠くなりがちな複式簿記を身近に感じてもらいたいなあ……と思っています。「複式簿記って、いったい何だ?」という読者もいらっしゃるでしょう。さっそく私のマンガを読んでいただきたいところですが、ここでは「複雑な商売をするときに必須の帳簿の付け方」と理解してください。