増税は不可避!?米両院を手にしたバイデン政権の景気対策、株価への影響を考察する
本当に大型財政政策は出るのか
米国では1月5日にジョージア州で上院議員選挙2議席の決選投票が行われ、2議席とも民主党が勝利しました。これで、大統領、下院に続き、上院も民主党が支配(50対50にハリス副大統領を加える)することになります。翌1月6日には、トランプ現大統領支持者による米国議会議事堂への乱入事件が起こりました。米国内では混乱が続いていますが、バイデン氏は正式に次期大統領に選出されました。株式市場は上昇を続けており、背景にはバイデン政権による追加の景気対策が早い段階で打たれるとの期待感があります。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
コロナ禍で家計負担が増える!? 高齢者医療費負担引き上げに児童手当削減…期待外れの第三次補正予算案
早急な医療体制の強化を
政府は2020年度第3次補正予算案を近日中に閣議決定する見込みです。2021年度当初予算案と合わせた15ヵ月予算となるもので、主な政策は以下の通りです。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
日本の財政政策は世界トップクラス、日本経済回復の支えとなる第三次補正予算に期待
Go Toも景気回復に寄与
日本の7~9月期の実質GDPは前期比年率+21.4%と、現系列で過去最高の成長となりました。全国的な緊急事態宣言などを受けて4~6月期の実質GDP成長率は前期比年率-29%と、これまでの史上最悪だったリーマンショック時(-18%)を大きく更新する落ち込みとなりましたが、そこから急回復を遂げています。<文:ファンドマネージャー 山崎慧>
バイデン民主党完全勝利なら株暴落も!?米大統領選に市場関係者が身構える理由
党内左派の勢いに警戒
11月3日に米大統領選挙が実施されます。民主党は、2016年に共和党が勝利したミシガン、オハイオ、ウィスコンシンなどのいわゆるラストベルトや、トランプ大統領の在住地であるフロリダなどの接戦州でいずれも選挙戦を有利に進めており、賭けサイトではバイデン候補の勝利確率が70%を上回っています。バイデン候補が勝利した場合、株式市場にはどのような影響があると考えられるのでしょうか。
株価上昇でも家計は苦しい…アベノミクスとは何だったのか
憲政史上最長政権の経済政策を振り返る
日本憲政史上最長となる7年8ヵ月の安倍政権の実績で最も議論が分かれるのは経済政策、いわゆるアベノミクスの評価でしょう。今回は第二次安倍政権発足(2012年12月26日)直後の2013年1月から新型コロナウイルス禍前の2019年12月までの7年間を対象に、アベノミクスの総括的検証を行いたいと思います。
経済的死者を減らせ!新型コロナで深刻すぎる日本経済の重症度
新型コロナウイルスでGDPは最悪の落ち込み
日本の新型コロナウイルス新規感染者数は5月対比で高水準が続いており、第二波が懸念されています。一方、感染再拡大からおよそ2ヵ月が経った8月中旬でも重症者数は抑えられており、政府も「医療提供体制はひっ迫した状況ではない(安倍首相)」と繰り返しています。結果として死者数の増加は緩やかで、引き続き他国対比で被害の抑え込みに成功しています。しかし、経済の落ち込みは深刻です。
世界経済「史上最大のV字回復」へ向かうが、日本は出遅れ懸念
「Withコロナ」でどう経済と両立
新型コロナウイルスの感染拡大ペースの鈍化を受け、各国で徐々に経済活動が再開されています。感染再拡大を防ぐ規制が完全には撤廃されない中、経済はV字型でなくL字型の弱い回復にとどまるとの見方が一般的です。しかし、実際の経済データは各国でL字型でなくV字型の回復を見せています。感染拡大が最初に始まった中国では、4〜6月期の実質GDP成長率が季節調整済み前期比+11.5%と、統計開始以来過去最大の伸びとなりました。水準で見ると1〜3月期の落ち込み(同▲10.0%)をわずか1期で全戻しするV字回復となっています。
コロナ死者数と行動制限「ほぼ無相関」、第2波にどう警戒すべきか
コロナの危機はまだ去らず
先進国で新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトしたことを受けて、各国で経済再開の動きが続いています。Google社がスマートフォンアプリなどの位置情報から滞在人数・時間を算出する「モビリティ指数」は日、米、欧で順調な回復を続けています。日本では6月19日にすべての業種で休業要請が解除されましたが、欧州のいくつかの国や米国の一部の州でも段階的に実施されてきた経済再開が最終フェーズに入っています。
独自路線のスウェーデンと大差なかった日本の「移動指数」
行動制限と被害規模の不思議な関係
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて各国政府は国民に対して行動制限を実施していますが、その程度には差が出ています。Google社はスマートフォンアプリなどの位置情報から滞在人数・時間を示す「モビリティ指数」を算出し、新型コロナウイルス流行前の基準値からの差を「住居」、「公園」、「食品・薬」、「小売・娯楽」、「駅」、「職場」の6つの指数として公開しています。ここでは経済活動と特に関わりの深い後者3つの平均値を用いて、世界的に感染が拡大し始めた3月1日から5月15日までの行動制限の強弱を名目GDP上位の35ヵ国・地域を対象に比較してみます。なお、中国の指数は発表されていません。
日本の「対コロナ財政政策」は海外とどれほど規模が違うのか
本当に海外より少ない?
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた行動制限により、世界経済は戦後最悪の景気後退に向かっています。世界に先駆けて感染拡大と都市閉鎖を経験した中国では、1〜3月期の実質GDP成長率が前期比▲9.8%、年率では▲30%を大きく超える減少となりました。米国や欧州、そして日本でも4〜6月期の実質GDP成長率は前期比年率で▲30%程度の落ち込みとなる可能性があります。これに対して各国政府は相次いで財政政策を打ち出しています。日本でも、4月7日に事業規模108兆円の経済対策が閣議決定されました。しかし、4月中旬にかけて実施されたロイターによる企業を対象としたアンケート調査では、経済対策が「やや不足している」との回答が46%、「かなり不足している」との回答が29%となっています。また、諸外国と比べて規模が十分でないとの批判も出ています。
コロナで「戦後最悪」に向かう世界経済、日本はどうなるのか
期待される政策対応
新型コロナウイルスは世界中で感染拡大に歯止めがかからない状況が続いています。各国で商業施設の営業停止や外出禁止令、渡航制限が発令され、感染の抑え込みと引き換えに経済活動を停止させています。
影響は「3.11」超え? 新型コロナが導きかねない日本経済“最悪のシナリオ”
消費増税に伴う消費低迷に追い打ち
2月の自動車販売は前年同月比で▲10%と、大きな落ち込みになりました。順次発表されている小売り各社の既存店売り上げも、インバウンド・免税品を中心に大きく減少しているものが目立ちます。データの落ち込みは事前に予想されていましたが、改めて新型肺炎の感染拡大に伴う景気の落ち込みの深刻さを認識させるものとなりました。
やはり深刻だった「消費増税」の影響、日本の景気はこの先どうなる?
正念場は東京五輪後
2019年10月に消費増税が実施されてから4ヵ月が経過しました。政府は2014年のような消費の大きな落ち込みを防ぐため、軽減税率や幼児教育の無償化などを実施しました。麻生太郎財務大臣は増税前の9月に「今回は税制面や軽減税率などの対策が消費者を気分的に下支えし、駆け込み需要は出ていない。駆け込み需要の後にその反動が出るわけだから、駆け込みがなければ反動も出てこないだろう」と述べていました。しかし、消費増税後の消費データは弱いままとなっています。はたして、この先の日本の景気はどうなっていきそうか、考えてみたいと思います。
日本の金融政策はどこに向かう? 欧米では「脱・マイナス金利」の動きも
マイナス金利はまもなく4年目に突入
日本では2016年2月以降、マイナス金利政策が続けられています。貸出利ザヤの縮小から多くの地方銀行が営業赤字に陥るなど、その副作用が大きな問題となっています。実際、苦しい経営環境を受けて、金融機関はATM手数料の無料措置縮小などを打ち出しているほか、最近では口座維持手数料の導入による顧客への負担転嫁も議論されています。一方、世界に目を向けると、真逆の動きを取る国も現れ始めています。日本の金融政策はどこに向かおうとしているのか、他国の状況を踏まえながら考えてみたいと思います。
大統領選まで1年、トランプ氏の対抗馬に躍り出た“新星”の正体
ブティジェッジ氏とは何者か
米国のみならず、世界の経済や投資環境に大きく影響する一大イベントまで、残り1年を切りました。米国の大統領選挙のことです。共和党の現職であるドナルド・トランプ大統領に対して、民主党ではオバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデン氏、ベテラン上院議員で国民皆保険制度と富裕層大幅増税、環境投資などを公約に掲げているエリザベス・ウォーレン氏、社会主義者を自称するバーニー・サンダース氏などが有力候補となっています。そして、ここにきて支持率を急速に上げているのが、37歳のピート・ブティジェッジ氏です。民主党の予備選挙が最初に行われるアイオワ州では、世論調査で突如として支持率トップに躍り出ました。この大統領選の“新星”はどんな理念を持ち、どんな政策を掲げているのでしょうか。そして、もし彼が大統領に選ばれたとしたら、株式市場や日本経済にはどのような影響が考えられるのでしょうか。
世界的に冴えない「7~9月期決算」、それでも“買える”セクターはどこか
日・米・欧の最新決算を深掘り
欧米では7~9月期、日本では上半期の決算発表がおおむね終了しました。欧州に続いて米国も前年同期比で減益に転じ、日本も通期の増益率予想がマイナスとなるなど、総じて冴えない内容となっています。それでは、どの国のどのセクターもまったく手出しできないかといえば、必ずしもそうではなさそうです。主要国の企業業績全体が冴えない中にあっても成長が期待できそうなセクターとは、どの業種なのでしょうか。
勝率91%!株高優勢の「逆セル・イン・メイ」は2019年も期待できるのか
投資家心理を支える2つのプラス要因
10月31日の日経平均株価は前日比83円高の2万2,927円で大引けを迎えました。月初の2万2,000円を割り込む状況から持ち直し、2万3,000円台をうかがう勢いです。その前日にあたる10月30日、FRB(米連邦準備制度理事会)は今年に入って3回目となる利下げを実施しました。ジェローム・パウエル議長は会見で「今後の政策は状況次第」との姿勢を示しましたが、場合によってはさらなる利下げに踏み切る可能性も否定しませんでした。日本銀行も10月31日の金融政策決定会合でフォワードガイダンスを強化しています。経済指標や企業業績は世界的に冴えない展開が続いていますが、こうした中央銀行の姿勢が投資家心理を支える構図となっています。株式市場は今後も堅調を維持することができるのでしょうか。目下のところ、投資家心理に対してプラスとなる要因が2つ挙げられます。
対岸の火事では済まされない、米「レポ市場」で起きている異変
当局が10年ぶりに資金供給
米国で今、「レポ市場」における金利の上昇が話題となっています。レポ市場とは、主に国債を担保にして、短期の資金を貸し借りする市場です。1日当たりの取引高は数兆ドルと非常に大きく、参加者も多様で金融市場の根幹を成しています。レポ市場で異変が起きたのは、9月17日のこと。それまで2%程度で推移していたレポ金利が一時8%を超えて上昇し、米国の短期金融市場を統括するニューヨーク連銀は実に10年ぶりとなるレポ市場を対象にした資金供給を行いました。その後は急激な金利上昇こそ落ち着いたものの、レポ市場は不安定な動きをみせており、ニューヨーク連銀は連日の資金供給を続けています。レポ金利は、金融市場全体の短期金利の動向に大きく影響します。それだけに、日本人の投資家にとっても“対岸の火事”で済ませられる問題ではありません。足元の異変の根源を探ってみます。