決算分析のコツ
個人投資家で『月収15万円からの株入門 数字音痴のわたしが5年で資産を10倍にした方法』『数字オンチもへっちゃら! 文系女子の分かる!株の本』の著者・藤川里絵氏が、投資家にとって重要な投資判断材料となる決算について、事例をもとに分析する方法を解説。
物流「2024年問題」が迫るなか、業績予想を上方修正した強気な企業とは?
追い風となった要因を決算から読み解く
「ピンポーン!」今日もまた宅配便が届きました。昨夜ポチったものが、翌日の午前中には届くという素晴らしさ。すっかりこのスピード感に慣れてしまいましたが、もしかしたらこの快適な通販生活は続かないかもしれません。というのも、いま経済界でもっとも懸念されているのが「物流」。コロナによってネットショッピングが一気に広まり、宅配個数は増加しています。一方で、ドライバー不足は深刻で、時間外労働でしのいでいる運送会社も多いと聞きます。さらに追い討ちをかけるのが「2024年問題」。2024年4月から、ドライバーに年960時間を上限とする残業規制が適用されます。月平均の単純計算だと、現行基準の残業上限から約19時間短縮され、これは東京―大阪間(約550km)のトラック輸送の往復時間に相当します。長時間労働が当たりまえとされた物流業界だけに、2024年問題はかつてないほどの大変革をもたらすかもしれません。いかに効率よく荷物を運び、ドライバーの労働時間を減らすか……これが大きな課題となります。
良品計画とアダストリア…明暗分けたアパレル決算、勝ち・負けの境目はどこにあるのか?
売上は伸びているのに利益に差が出た訳
昨年12月末から、アパレル企業の決算が続々発表されています。同じ業界であれば、大抵はまるっと全体が良い・悪いとなるのですが、今回のアパレル決算は、見事に勝ち組と負け組が分かれる、珍しい形となりました。勝ち組:前年比増収増益アダストリア(2685)パルグループホールディングス(2726)ABCマート(2670)負け組:前年比増収減益良品計画(7453)ワークマン(7564)ファーストリテイリング(9983)勝ち組と負け組の違いは、利益にあります。勝ち組は前年比で増益ですが、負け組は減益となっています。どちらのグループも売上は伸びているのに、利益に差が出てしまった……この違いが出てしまったのはなぜでしょうか?
好決算なのに売られる理由−−数字オンチでもわかる、決算で見るべきポイントとは?
事例で学ぶ決算分析
株式投資家にとって、決算発表はけっしてスルーできない重要イベントです。業績や、進捗具合を示す決算発表は、投資家が株主であり続けるかどうか、もしくは新たに株主になるかどうかを判断するための重要な材料だからです。しかし、実際に決算発表をきちんとチェックしている方は少ないかもしれません。かく言う私自身も、株式投資をはじめた当初3年間くらい、決算発表はノーチェックでした。もともと、会社四季報から銘柄を発掘するのが得意なこともあり、決算を見なくても四季報だけ見てればよいと考えていたのです。ところが、株式投資にのめり込むうちに、決算発表を無視する愚かさに気づきました。そこには、売上や利益といった定量的な数字だけでなく、市場の環境や、問題点、その企業の目指す姿などいろいろは情報が詰まっています。決算を読み解くことができれば、投資のチャンスは飛躍的に広がるのです。「決算なんてむずかしい」「文系のわたしには無理」そんな風に思わないでください。数字にはめっぽう弱い文系女子の私でも、それなりに決算は分析できます。というのも、企業が開示する決算短信という資料は、おおむねフォーマットが統一されているので、どこを