はじめに
米中対立の行方
トランプ政権に限らず、前バイデン大統領の時代もそうでしたが、米国の事実上の「敵」は中国です。市場の関心も、この2大経済大国の対立がどういう形で決着するかに尽きるでしょう。
米中両国は先月、両国の貿易問題を巡りスイスのジュネーブで行った閣僚級協議で、相互に発動した関税率を115%ポイント引き下げることで合意しました。しかし、アメリカ側は、中国が合意のあともレアアースなどの輸出を遅らせているなどと主張し、トランプ大統領は、先月末に「中国が合意を破った」と批判しました。これに対して中国は一歩も引かず、トランプ大統領の批判について、中国商務省の報道官は「中国側は積極的に合意を守っている」と反論したうえで、「アメリカ側は中国側を根拠なく非難する姿勢をとっており、こうした非難を断固拒否する」とするコメントを発表しました。一時は雪解けムードも見えた米中対立ですが、再び暗雲が漂い始めました。
ところがここにきて朗報が届きました。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は5日、電話会談を行い、両国間で高まる貿易摩擦やレアアース(希土類)を巡り議論したと報道されています。報道によると、会談のあとトランプ大統領はホワイトハウスで記者団の質問に対し「とてもよい会談だった。合意のいくつかの点について、主にレアアースにまつわることなどを整理した」と述べ、アメリカ側が中国がレアアースなどの輸出を遅らせていると主張していた問題も解決に向かうとの見方を示しました。さらに「習主席が私を中国に招き、私も習主席をアメリカに招いた。両者とも招待を受け入れた」と述べ、お互いの訪問を約束したとしています。
これだけを見ると米中関係の改善に期待が持てますが、主要課題は今後の協議に委ねられる形となりました。ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア米通商代表部(USTR)代表が率いる代表団が中国側と「近く」会談する予定だということですが、果たして協議はうまくいくでしょうか。
結論から述べると、最後はトランプ大統領=米国側が中国に譲歩する形で決着すると思います。なぜなら、中国は世界のレアアースの7割のシェアを握っているからです。いうまでもなくレアアースは最先端の電子機器に必要な鉱物で、これがないと半導体も自動車もつくれません。さらに戦闘機や原子炉制御棒、その他の安全保障上の重要技術に不可欠なのです。
これではトランプ大統領も中国に対して強気にでるわけにはいきません。結局は市場が見込むTACOのシナリオ通りになるでしょう。
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