はじめに

夫婦で「お金とこれから」を語り合う

FPとして感じるのは、老後資金の使い方や年金の取り崩しについて「どちらかだけが決めている」家庭は、後々トラブルになりやすいということです。

研究でも「夫婦間の意見一致度」や「合意確認」が満足度の高い夫婦の特徴として挙げられています。人生後半の資金設計では、金額よりも「目的と価値観の共有」が重要なのです。

例えば「年に一度は旅行したい」「孫の進学に援助したい」といった希望を共有し、それに合わせてお金の使い方を決めていくと、自然と将来設計が"ふたりごと"になります。

また、パートやボランティアなど、社会とつながる場を持つことも、新たな会話の種を増やす良いきっかけになるでしょう。

「変えようとせず、受け入れる」成熟した視点

定年後、長年見えていなかった"相手の短所"に目が向くこともあるかもしれません。しかし、老年学研究によれば、夫婦関係満足度の高い夫婦は、それを「変えるべき課題」ではなく、「受け入れ方の工夫」として捉える傾向があります。

例えば「夫に100点を求めず、60点でもまあいいかと思えるようになった」とマインドチェンジするのは、妥協ではなく成熟した関係性の表れともいえます。欧米の研究では、これを「許しと受容」と呼び、長期結婚継続の重要な要素としています。

夫婦関係は、固定されたものではなく、常にアップデート可能です。変化を恐れず、「今のふたりに合った距離感や関係性」を模索していくことが、人生後半を豊かにするカギとなるでしょう。

第二の人生を共に楽しむために

定年後の生活は、ふたりでつくる「新しい日常」です。戸惑いや摩擦があっても、少しの工夫と対話で関係は変わります。

「夫が家にいるだけでつらい」と感じる前に、お互いを"人生のパートナー"として再認識してみませんか? ポスト中年期という新たなステージを、支え合い・楽しみ合える関係へと育てていく。そのための時間と知恵を、今こそふたりで共有することが求められています。

人生100年時代、定年後の時間は決して短くありません。この4つのヒントを参考に、ご夫婦で新しい関係づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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