はじめに
投資先の商品や運用会社も要確認
安心して投資を続けるためには、自分の資産だけでなく、投資先の商品や運用会社についても確認しておきたいところです。
コストの安い、よい投資信託を選ぼう
投資信託のコストといえば、保有中にかかる「信託報酬」のことだろうと思われるでしょう。確かに、信託報酬は投資信託を保有している間ずっとかかるコストなので、なるべく低いものを選ぶのが大切です。
しかし、大切なのは信託報酬だけではありません。実際に投資した投資家が負担した「実質コスト」にも注意しましょう。見かけ上の信託報酬は安くても、実質コストが高いことがあるからです。
たとえば投資信託の運用会社、PayPayアセットマネジメントが運用している「PayPay投資信託インデックス先進国株式」の信託報酬は年0.0572%と、同種ファンドの中で最安水準です。しかし、2023年6月28日から2024年7月10日の実質コストは、年1.482%となっています。ずいぶん大きな違いです。
投資信託の実質コストは、運用開始直後の商品ではわかりません。投資信託の運用から1年経過後に出される運用報告書に記載されます。
なお、実質コストとは別に、投資信託の目論見書には、2024年4月から「総経費率」が記載されるようになっています。総経費率とは、投資信託の運用にかかった費用を合計した総経費を平均純資産総額で割ったものです。したがって「総経費率≒実質コスト」と考えて問題ないのですが、総経費率はあくまで概算であり、含まれていない費用もあることを押さえておきましょう。
以上より、真にコストの安い投資信託を選ぶ際には、
(1)運用から1年以上経過しているファンドの中から、
(2)信託報酬で手数料の安い商品を選び、
(3)総経費率および実質コストが安いものを選ぶ
がよいでしょう。最近は、信託報酬・総経費率・実質コストをまとめて比較しているサイトもあるので、参考になるでしょう。
繰上償還しない商品を選ぼう
繰上償還とは、本来の運用期間が満了する前に運用を終了して、その資金を投資家に返還することをいいます。新NISAの対象商品となる条件のひとつに、「信託期間20年以上」がありますが、多くの場合「無期限」になっています。
信託期間が無期限だからといって、いつまでも運用が続くわけではありません。投資家に人気がなかったり、利益が出せていなかったりする投資信託の場合、繰上償還をして運用を終了してしまう場合があります。
繰上償還になった場合、「資金が返還されるのであれば問題ない」というわけではありません。もしもその時点で運用損を抱えていたら、その損が強制的に「実現損」になってしまいます。その後の回復や値上がりを待つことができなくなるのですから、これはマイナスです。
繰上償還の憂き目にあわないようにするために、
・月次資金流入が堅調
・純資産総額と基準価額が右肩上がり
であるかもチェックしましょう。
月次資金流入が堅調ということは、そのぶん投資家から買われている(人気がある)ことを意味します。また、純資産総額と基準価額が右肩上がりということは、運用実績がよいことを表します。
運用会社の経営状態も確認
2024年10月11日、PayPayアセットマネジメントが「2025年9月末をめどに事業を終了する」と発表しました。事業終了の理由は、業績が低迷していたためです。
同社の決算公告を見ると、2020年3月期から2024年3月期まで、5期連続で当期純損失を計上していました。
PayPayアセットマネジメントが運用していた商品は全部で12本あり、うち8本はアセットマネジメントOneに移管され、引き続き運用が行われます。しかし4本は、繰上償還となります。引き続き運用が行われるなら影響はまだ少ないですが、繰上償還となれば前述のとおり投資家には悪影響です。とくに規模の小さな運用会社の場合は、業績を確認しましょう。
iDeCoの商品入れ替えが起こる場合も
iDeCoで購入できる投資信託は、金融機関により異なります。そして、35本以内にしなければならないというルールがあります。
楽天証券は2025年5月15日、iDeCoのラインアップを見直すとして9本の投資信託の除外を発表。代わりに自社の「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」を追加することも発表しています。
これまで楽天証券のiDeCoで除外される商品を購入していた人は、2025年6月30日までに「回答書」にて除外を希望するか否かを回答する必要があります。
除外を希望しない場合、回答書にて「除外に同意しない」と返信します。3分の2以上の方が除外に同意しなければ除外は行われません。しかし、3分の2以上の方が除外に同意すると、その投資信託は2025年8月1日以降iDeCoでの新規買い付けができなくなります。
あくまでiDeCoでの新規買い付けができなくなるだけなので、引き続き運用をしたり他の商品にスイッチングしたりすることはできます。しかし、これまでその除外される商品を購入していたお金で今後何を買うのかを指定(配分指定)をしないと、その分のお金は「未指図資産」といって、運用もされず利息もつかない資産になってしまうので、該当する場合は必ず配分指定しましょう。
新NISAでは、運用商品が除外されることは考えにくいですが、投資信託の基準価額および純資産額の状況や運用会社の業績によっては、繰上償還や統合の可能性があります。
ほったらかし投資には、このような長期・積立投資継続に重要な事象が起こる場合があります。最低でも年1回はマイページをチェックし、重要なメールは見逃さないようにしましょう。
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