はじめに
個人とGPIFが運用するときの違いに配慮する
GPIFの運用スタイルは、個人の資産形成にも応用できる考え方ですが、すべてをそのまま真似することが正解とは限りません。なぜなら、GPIFと私たち個人とでは、運用の目的や環境に違いがあるからです。その違いを理解しておくことで、自分に合った運用スタイルを選びやすくなります。
①運用するお金の規模が違う
GPIFは、世界でもトップクラスの規模を誇る機関投資家で、2024年12月時点で約258兆円を超える資産を運用しています。一方、個人が運用するお金は限られており、許容できる損失額や投資スタイルは異なります。
②運用の目的が違う
GPIFの目的は、日本全体の年金制度を将来にわたって持続可能なものにすることです。そのため、できるだけ安定的で長期的な収益を求めた運用が中心となります。一方、個人の投資は「老後のため」「住宅購入のため」「教育資金の準備」など、目的が人によってさまざまです。自分のライフプランに合った運用方法を選ぶ必要があります。
③投資できる期間が違う
GPIFは、非常に長い期間を前提とした運用が可能です。世代を超えて続く制度のため、多少の損失があっても将来的に取り戻す余裕があります。しかし個人の場合は、住宅購入や教育資金が必要になるタイミングがあります。そのため、リスクを抑えることや現金化しやすい資産に移すなどの工夫が求められます。
④投資の知識や情報の集め方が違う
GPIFは、投資や経済に詳しい専門家のチームがいて、世界中の最新の情報やデータをもとに運用の判断をしています。一方、私たち個人は、ニュースやネットなど身近な情報しか手に入らないことが多く、専門的な判断をするのは難しい場面もあります。だからこそ、つみたて投資といったシンプルでリスクを分散できる投資方法を選ぶことが、安心して長く運用を続けるコツになります。
年金も投資されている今、私たちにもできること
私たちが毎月支払っている年金保険料の一部も、実はGPIFによって値動きのある金融商品に投資され、リスクをとりながら運用されています。つまり、国の制度そのものがリスクと向き合いながら、よりよい将来のために資産を増やそうとしているのです。であれば、私たち個人も同じように、自分の将来のために投資を取り入れてみる価値は十分にあるのではないでしょうか。もちろん、大きな金額を動かす必要はありません。少額からでも、長期・分散・低コストという基本を押さえた運用であれば、誰でも無理なく資産形成をスタートできます。
GPIFのようにすべてを真似る必要はありませんが、「未来に備える姿勢」だけは、私たち一人ひとりにも通じるものです。投資を特別なものと思わず、生活に取り入れてみることで、より安心できる将来への一歩が始まります。
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