はじめに

収入保障保険が登場してから長い時間が経過しました。最初は、死亡・高度障害になった場合、遺族年金の上乗せとして毎月の収入を補填する商品として注目を集めていました。現在では死亡・高度障害に加え、就労不能状態や介護状態、精神疾患による就労不能など、幅広いリスクをカバーする保険へと進化しています。

この進化に伴い、保険金の支払い基準も大きく変化しています。目安にする指標、介護認定の介護度の緩和など、重篤な状態から、比較的軽度な状況でも保険金を受け取れる商品が登場しています。目安となる指標に焦点を当て、どのような状況で保険金を受け取ることができるのかについて、詳しく解説します。


就労不能状態における収入保障保険の重要性

就労不能状態が家庭の収入に与える影響は、以下が挙げられます。

〇子育て中の世代
収入が途絶えることで、生活資金だけでなく、教育資金が不足するリスクがあります。

〇就労不能時の経済的負担
死亡による収入減に比べ、本人の生活資金、治療や介護にかかる費用が必要となり、資金不足が顕著になります。

〇高齢化社会の影響
高齢化、人手不足、低年金などの要因で、就労年齢が伸び、高齢者における就労不能リスクへの備えが必要です。
以上の要因から、傷病手当金・障害年金・高額療養費・介護保険などの公的支援があるものの、生活を支える収入を補填する民間の収入保障保険の必要性が高まっています。

就労不能状態で保険金が支払われる要件の基準

収入保障保険の支払い基準として利用される主な指標は以下の通りです。

国民年金法に定める障害等級

国が定めた障害等級に認定されると、公的年金が支給されます。会社員・公務員等の場合1~3等級の障害厚生年金と1~2等級の障害基礎年金が受け取れます。自営業者等の場合は障害基礎年金のみです。障害等級を支払要件とする商品の多くは、1等級または2等級に認定されることを基準としています。

身体障害者手帳の等級

身体障害者福祉法に基づき、身体の機能がどれだけ制限されるかで等級1~6級が決定します。障害等級に認定されると、身体障害者手帳が交付され、福祉サービスが受けられます。保険会社により異なりますが、身体障害者手帳の等級を支払要件とする商品の多くは1~4級を基準としています。

介護認定の要介護度

公的介護保険制度により、身体状態によって要介護1~5、要支援1~2と認定されます。要介護認定は40歳以上の人が対象となり39歳以下のひとは認定を受けることができません。対象である40歳~64歳のひとは介護に至る原因が、加齢に伴う16種類の特定疾病により介護が必要な場合に限られます。

支払要件とする商品の多くは要介護1~5または2~5を支払要件にしています。公的介護保険制度の対象外である39歳以下のひとでも、保険会社が認める所定の介護状態に該当すれば支払われることもあります。

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