はじめに
映画館の行列やSNSで話題のグッズ……そんな日常のムーブメントが、実は株価の変動に現れることがあります。『鬼滅の刃』や『ポケポケ』のヒットが株式市場をどう動かしたのかをひも解きながら、生活者だからこそヒットを察知できる、投資のヒントと実践法を解説。個人投資家としての感覚を研ぎ澄ませる“気づきの投資術”とは?
『鬼滅の刃』映画が社会現象に! 街の熱気は株価のサイン
夏休みが始まり、街では映画館に向かう親子や学生さんの姿が目立ってきましたね。
なかでも、2025年7月18日公開の劇場版『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』の人気ぶりは目を引きました。早朝から満席続きで、まさに社会現象といえる熱気です。実は、こうした一般消費者の動きが、企業の業績や株式市場にじわじわと影響を与えています。
実際に『鬼滅の刃』の映画を配給する東宝(9602)の株価は、過去に行われた株式分割の影響を補正したうえでも、上場以来の最高値を何日も連続で更新しています。背景には、6月に公開された実写映画『国宝』のヒットによる上昇に加え、『鬼滅の刃』のムーブメントがさらなる追い風となっていることが挙げられます。
日常の「小さな変化」や「消費者の熱狂」に気づけば、企業の成長や株価の動きを先回りして捉えることができます。今回は、そんな「生活者目線の投資法」について、個人投資家にとっての魅力や実践方法をご紹介したいと思います。
東宝の株価は? 『鬼滅の刃』から始まる投資の気づき
『鬼滅』と言えば、2020年公開の『鬼滅の刃 無限列車編』が記録的な興行成績をたたき出し、東宝の株価も注目を集めました。そして、2025年夏の新作となる『無限城編』もまた、公開3日で興行収入55億円となっています。
配給元の東宝は、映画そのものの興行収入に加えて、グッズ販売やイベント連携、DVD販売など多角的に収益を得るビジネスモデルを持っています。連日の猛暑を避けたい需要もあって夏休みに映画を観る人が増えそうなのでTOHOシネマズを全国展開している点も強みです。
「鬼滅の刃がヒットしている」→「配給企業はどこ?」→「東宝?」→「株価や業績はどうなっているか?」→「投資する価値があるかどうか?」というように、最初の気づきを起点として、ひとつひとつ情報を重ねていくプロセスが大切です。
その過程で、IR資料や会社四季報、決算発表なども活用しながら判断を深めていきましょう。