はじめに

最近、NISAやiDeCoなどの認知が広まり、「資産形成といえば投資が当たり前」といった雰囲気が強まっています。そんな中で、投資をしていない自分に対して、「これで本当に大丈夫なのかな?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

確かに、投資は資産を増やす手段のひとつです。しかし、すべての人にとって最適とは限りません。資産形成には、投資以外にもさまざまな方法があり、ライフスタイルや考え方によって向き・不向きがあります。この記事では、「投資をしない」という選択肢にも焦点を当てながら、無理なく続けられる資産形成の方法について、FPが解説します。


投資が合わない理由は、誰にでもある

「投資は将来のために必要」とわかってはいても、なかなか踏み出せない。そう感じるのは、ごく自然なことです。投資には価格変動がつきものであり、元本割れの可能性があると聞くだけで不安を覚えるのは当然です。日々の相場の動きに一喜一憂して、気が休まらない人もいれば、損失が出たときに立ち直れないのではと心配になる人もいるでしょう。

また、多くの方にとって投資や経済の話は難しく感じられ、自分にはまだ早いと思うかもしれません。とはいえ、そのことについて調べる時間や余裕がなく、後回しになってしまっている人が多いのも事実です。

さらに、現実的な問題として、日々の生活に余裕がないと、そもそも投資に回すお金を捻出すること自体が難しいケースもあります。特に家計にゆとりがない時期に、リスクを取ってまで資産を増やそうとする判断は、心理的にも負担が大きくなりがちです。

このように、投資に対して「不安」「難しさ」「金銭的な余裕のなさ」といった壁を感じるのは決して特別なことではありません。だからこそ、「投資が合わない」と感じたときは、別の方法に目を向けることが大切です。次に、投資をせずに資産形成を行う手段をご紹介します。

投資をしない資産形成の選択肢

投資をしない場合には、どのような手段があるのでしょうか。ここでは代表的なものを5つご紹介します。

1.定期預金・積立預金
金利は低いものの、元本保証がある安心感は大きなメリットです。投資のように大きく増えることはありませんが、収入の一部をコツコツ積み立てることで、貯める力が自然と身につきます。自動積立の仕組みを利用すれば、無理なく継続しやすくなります。また、今後金利が上昇すれば、預金の利息もある程度期待できるかもしれません。

2.財形貯蓄・社内預金
勤務先に社内預金や財形貯蓄の制度があれば、これらを活用するのも手です。社内預金は定期預金よりも高い利率が設定されている場合が多く、給与天引きにより確実に貯金ができます。財形貯蓄は目的別に「住宅」「年金」「一般」と分かれており、一定の条件を満たせば利子が非課税になるメリットもあります。

3.学資保険や個人年金保険などの貯蓄型保険
万が一に備えつつ、計画的にお金を貯めたい方には、貯蓄型保険がおすすめです。たとえば学資保険では、子どもの教育費を決まった時期に受け取れますし、個人年金保険であれば、老後の生活資金を準備する手段として活用できます。保険料控除による節税効果もありますが、中途解約時の元本割れには注意が必要です。商品によっては返戻率が低いものもあるため、満期時にどのくらい戻ってくるか確認するといいでしょう。

4.住宅ローンの繰上返済
住宅ローンを抱えている方にとって、借金を減らす行為は、実質的に資産を増やすことと同じ意味を持ちます。たとえば、ローン金利が1.0%であれば、その金利をカットすることは「確実に年1.0%で運用している」のと同様の効果があります。リスクがないうえ、将来の家計負担も軽減されるため、非常に実用的な手段です。

5.自己投資
そして、忘れてはならないのが、「お金を生む力=稼ぐ力」を高める視点です。資格取得、スキル習得、副業スタートなど、自分自身に投資をすることで、将来的に収入を増やせる可能性があります。

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