はじめに
株式市場が不安定ななか、着実に存在感を高めているのが「REIT(不動産投資信託)」です。2025年6月には東証REIT指数が1800ポイント台に回復し、毎日のように年初来高値を更新しています。
「利回りの高さ」や「不動産市場の安定性」などが見直され、投資家の関心も高まっています。なぜ今、REITが好調なのか、今から買ってもよいのかを検証したいと思います。
REITが絶好調のわけ
REITが好調の理由として、以下の5つが挙げられます。
1. 分配金利回りの高さ
REITの最大の特徴は、株の「配当」にあたる分配金を定期的に受け取れること。その利回り(=投資金額に対する分配金の割合)は、現在5%前後と高水準です。
たとえば、100万円投資すれば、年間5万円ほどの分配金が期待できる計算です(税引前)。これは普通の株式配当や銀行預金と比べてかなりの差があり、「インカム(安定収入)重視」の投資家にとっては非常に魅力的です。しかもREITは、法律で「利益の90%以上を分配すれば法人税がかからない」とされており、必ず一定額の分配が行われる構造になっています。これが安定した利回りを実現している理由です。
2. 不動産市場の回復
REITが投資するのは、オフィスビル、商業施設、物流倉庫、ホテルなどの実物不動産です。近年、コロナ禍からの回復で都市部のオフィス需要やインバウンド観光が戻ってきており、不動産市況が改善しています。
3. 金利上昇懸念の一服
REITは基本的に「借り入れ」を活用して不動産を運用しているため、金利が上がると負担が増えるという弱点もあります。これまでの下落の背景には、借り入れの多い不動産業にとって国内の金利上昇はマイナスだろう、という連想もありました。
しかし、2025年6月の日銀会合では、政策金利は据え置かれ、国債買い入れ縮小もゆるやかに進める方針が発表されました。7月も据え置きと予想されており、これは市場にとって「金利が急上昇するリスクは当面低い」という安心材料となり、REITにはプラスに働いています。
そして実は、REIT全体で見ると、変動金利での借入比率は10%程度しかありません。9割が固定金利で借りているので、金利上昇の影響はそれほど大きくありません。
4. 賃料の上昇
REITが保有している物件の賃料が軒並み上昇傾向にあります。仮に金利上昇で支払利息が増えたとしても、賃料の上昇で十分相殺できる、もしくはプラスが出る状況です。
ここのところ建築費が上がりすぎているため、新築物件の供給が増えづらく、既存物件の需要は強く、賃料は下がりづらいと考えられます。
5. 外国人投資家の買いも支援材料に
REIT市場の堅調さを支えるもう一つのポイントが、「海外からの投資マネーの流入」です。日本のREITは、他国と比べて分配金利回りが高く、かつ運用の透明性も高いため、外資系ファンドや海外個人投資家からの注目が集まっています。
円安が続く今、外国人にとって日本の不動産は割安に見えやすく、投資妙味が増しています。これは指数全体の底上げにもつながる大きな追い風です。