はじめに
高値更新でも買ってよい?
利回りを支える分配金は増配基調が続いています。ニッセイ基礎研究所が発表した6月末時点の各REITの1口当たり予想分配金は、前年比7%増加の過去最高を更新しました。これは、オフィスやホテルを中心に賃料が増加していることが要因ですが、物件の売却益が貢献しているREITも多くあります。こういったREITは、売却益が得られなかった場合は減配になるリスクもあるため、注意が必要です。
そういったことも踏まえると、高値をぐいぐい更新しているREITよりも、出遅れ感のある物流系の銘柄に投資妙味を感じます。
ニッセイ基礎研究所のレポートによれば、EC市場の拡大や企業の物流戦略見直しに伴う賃貸ニーズは強く、物流施設のテナント更新時の賃料上昇率は5%を想定しているとのこと。となれば分配金の増加も期待できそうです。
REITの見るべき3指標
REITを選ぶときは、各REITのIR資料で、かならず以下の3つの指標をチェックしましょう。
1. 分配金利回り
もっとも注目されやすい指標。年額の分配金÷現在の価格で計算されます。6%以上の高すぎる利回りは、業績悪化が織り込まれて価格が下落している場合があります。4〜5.5%あたりがバランスよく、業績と安定性が両立しているゾーンです。
2. NAV倍率(純資産価値倍率)
鑑定価格ベースで見た不動産の価値(Net Asset Value=NAV、解散価値)と今の時価総額とを比べて、何倍になっているかを表す指標で、割安度を示します。
1倍未満なら不動産価値より株価が安い(割安)、1倍超なら将来の期待が織り込まれている(割高気味)と判断されます。0.9〜1.1倍がボリュームゾーン。極端に低いと市場評価が悪い可能性もあります。
3. 稼働率
所有している不動産のテナントがどれだけ埋まっているかを示す指標(%表示)。90%以上が理想で、80%を切ると収益に不安が出ます。とくにオフィス系や商業施設系REITでは稼働率の低下がダイレクトに収益減へつながるため、要注意です。
REITは“守り”と“利回り”を両立できる選択肢
東証REIT市場は今後も「高利回り」「安定収益」「外部環境の追い風」といった複数の好材料を抱えており、資産形成の中で“守りながら増やす”選択肢として有力です。
特に、ボラティリティが高まる株式市場に不安を感じている方や、毎年の分配金で収入を得たい方にはぴったりの投資対象といえます。REITのETFならすべてNISAの対象なので、分配金を非課税で受け取ることも可能です。
金のように「あのとき買っておけばよかった」とあとから後悔しないために、今こそREITを投資対象として真剣に考えるべきだと思います。
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