はじめに

理論株価との乖離が拡大している

そして肝心のファンダメンタルズ面が悪化しています。グラフ1は筆者が算出している理論株価と実際の日経平均の値を示したものですが、直近は理論株価との乖離が拡大しているのがわかります。

【グラフ1】理論株価と日経平均株価の推移

出所:QUICKデータより筆者作成

理論株価は企業業績の見通しと長期金利から算出します。前述の通り、金利が下がってくれたのは株価にとってのプラス要因ですが、業績見通しのほうも低下しています。この結果、日経平均の理論株価は現在のところ、3万8000円程度です。

もちろん実際の相場では株価は理論値通りとなりませんから現在のように4万円台がつくこともあります。ただ、それは業績と金利といったファンダメンタルズ面からみれば、やや買われ過ぎの領域にあるということです。

【グラフ2】10年債利回りとEPS(一株当たり当期純利益)の推移

出所:QUICKデータより筆者作成

注目は海外勢の買いが続くかどうか

波乱含みの8月相場のスタートとなりましたが、これからは市場参加者も徐々に夏休みでマーケットを離れ、夏枯れムードも出始める頃です。参院選、関税交渉の妥結、FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀会合、そして米雇用統計と重要イベントを通過して、マーケットはやや「祭りの後」の倦怠感が漂います。そうしたなか注目は海外勢の買いが続くかどうか。

東京証券取引所が7月31日に発表した7月第4週(22〜25日)の投資部門別株式売買動向(東証と名証の合計)によると、海外投資家は7月第4週に6023億円買い越しました。これで買い越しは17週連続で、この間の累計での買越額は6兆円超に上っています。海外投資家の買越期間の長さは2012年11月から始まったアベノミクス相場初期の18週連続に迫っています。

ただ、過去の海外投資家の売買を月毎に見ると、8月は売り越すことが多かったというデータがあります。記録的な外国人の買い越しが途切れるようだと、前述の通り、日経平均はファンダメンタルズ面からやや買われ過ぎといえるだけに短期的な調整のリスクも念頭に入れておくべきでしょう。

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