住まい

「リスクは慎む時期」住み替えを企む夫婦にプロFPが苦言

FPの家計相談シリーズ

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

夫は自営の飲食業です。店舗は義父所有のため、店舗家賃および生活費を義父に支払っています。残りの手取りは普通のサラリーマンより少なくなりますが、定年もないので身体が続く限り長く働けます。


今、私たち夫婦は私名義のローン完済のマンションに住んでいますが、築10年を超えており、買い替えではなくもう1軒新築マンションを購入して自分たちはそちらに住み、現在の住まいを賃貸に出した家賃で新しいマンションのローンを払っていけないかと考えています。あわよくば2軒所有、最悪でも古い方を売って新しい方のローンを完済しようとの目論みです。


しかし、この1軒になるケースであれば最初から買い換えればよいとも考えられます。双方の価格差にもよると思いますが、買い換えと2軒持つ場合、両社の金利を含む支払い総額はどのような計算で比べたらよいのでしょうか? 年齢・職業・月収がネックになり、買い替えではローンが組めないのではないかと、このような方法を考えたのですが根本的に考え方が間違っているのでしょうか。
(50代 既婚・子供は独立済 女性)


深野: マンション購入に関するご質問ありがとうございます。早速、ご質問の回答をさせていただきます。

本当にローンを賃料で賄えるのか?

結論からいえば、2軒目のマンション購入は控えたほうがよいと思われます。新しいマンションの購入であれば買い替えの方が賢明でしょう。

2軒目のマンションを購入する場合、現在のお住まいを賃貸に出し、その家賃収入で2軒目の住宅ローンを賄う計画を立てているようですが、現在、賃貸物件はかなり数が余っている状況です。

今後も物件は増える一方、わが国の人口が減少していることを考えると、賃貸物件市場では供給過多に拍車がかかると予測されます。仮に賃借人が絶えず居たとしても、価格競争から住宅ローンの返済額を上回る賃料を得続けられる保証はどこにもありません。

賃料で住宅ローンを賄うことができなければ、不足分は預貯金を取り崩して返済していくことになりますが、その状態がズルズルと続くと預貯金等は減少していきます。もし厳しい状況になった場合、果たして古い物件を売却した代金で住宅ローンを完済することができるでしょうか。

築年数がさらに経過しているうえ、不動市況も好況ではないかもしれません。あくまでもご質問からの推測ですが、2軒目のマンション購入は頭金を入れず100%ローンで購入する予定ではないでしょうか。新築マンションは購入し住み始めた途端、2~3割近く価格が下落するといわれています。

そろそろ老後、保守的な思考に

つまり、100%ローンの場合は住み始めると物件価格より住宅ローンの残債が多くなってしまうのです。

1軒目のマンションの現在の時価よりも2軒目のマンション価格が低ければ、1軒目を売却して住宅ローンの完済もあり得るでしょうが、築10年を超えているマンション価格より低い価格の新築物件を現在のお住まいからそう遠くないところで探すのは、同程度、あるいはやや手狭な物件では至難の業と言わざるをえないのです。

ご質問では、金利を含む総支払額をどう考えればよいのかと記載されていますが、金利や総支払額を考える前に遅れなく無事完済できるかをまず考えていただきたいのです。

「ご主人が自営業者なのでサラリーマンより長く働ける」と書かれていますが、ご質問者の年齢を考えれば住宅ローンは65歳、定年がないことを考慮しても妥協して70歳までに完済しておきたいところです。

現在の金融資産額、公的年金の加入状況等はわかりかねますが、そろそろ老後を意識して資産運用や住宅ローンの返済など、お金回り全般は保守的に考える必要に差し掛かっているのです。

そのような時期に2軒目のマンション購入、しかも1軒目を賃貸に出してその収入で住宅ローン返済などというリスクをとった行動は慎むべきかと思います。

「年齢・職業・月収の点で買い替えでは住宅ローンを組めないかも?」とおっしゃるように、自営業者はサラリーマンなどの勤労者より仕事上でリスクをとっています。そのため、自身のお金回りに関することは同年代の勤労者よりも保守的に考えなければならないのです。

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