はじめに
この連載でも2025年5月に一度取り上げましたが、引き続きメガネ業界が堅調です。二大ブランドであるインターメスティック(Zoff)とジンズホールディングス(JINS)の株価は、上場来高値を更新中。この持続的な強さは、いったいどこから来るのでしょうか?
ふたたび両社の直近の決算資料から、強さの理由と、まだここからさらに成長余地があるかどうかを探ってみたいと思います。
参考記事:JINS vs Zoff:成熟市場でも業績好調の2社、どちらに投資妙味があるのか?
Zoff、JINSともに大きく成長
まずはインターメスティック(262A)の直近決算を確認します。
8月8日に発表された2025年12月期第2四半期決算では、売上高239.7億円(前年同期比+10.1%)、営業利益36.99億円(+19.9%)と、2桁成長を実現しました。売上総利益率は76.8%と高水準を維持し、販促コストを抑えることで営業利益率も15.4%に改善。成長をけん引したのは、UVカット効果のある「SUNCUTGlasses9(サンカットグラス)」などのサングラス需要です。
これは夏が本格化した7月・8月にさらに需要が高まり、既存店の月次売上は、7月が前年比+24%、8月が+18.0%と、勢いが加速していることが分かります。会社発表によると、Snow Manの目黒蓮さんを起用したCM効果も大きかったとのこと。
また、EC売上高も第2四半期時点で16.4億円(+6.4%)と堅調に伸びており、オンラインと店舗の両軸で収益基盤を強化しています。店舗数は国内316店、海外は香港とシンガポールに21店舗(いずれもFC)を展開中です。
一方、ジンズホールディングス(3046)の7月11日に発表された2025年8月期第3四半期決算は、売上高698.1億円(+18.0%)、営業利益88.9億円(+75.7%)。特に利益面でインターメスティックを大きく上回る成長を見せています。
国内事業が売上全体の77.7%を占め、20.2%の増収。インバウンド需要と高単価商品の販売が伸び、平均販売単価も上昇。この時点では、店舗数は国内530店、海外248店と、インターメスティックに対して規模面でアドバンテージがありました。
Zoffがメガネスーパーを買収、店舗数でJINS超えへ
しかし、9月2日、インターメスティックは、2025年10月に老舗チェーン「メガネスーパー」を運営する Horus HD(旧ビジョナリーホールディングス)を約190億円で完全子会社化すると発表しました。
この買収により、Zoffグループの年間売上は単純合算で約775億円(Zoff:493億円+メガネスーパー:282億円)と大幅に拡大。JINS(通期売上見通し:925億円)に迫る規模感となります。
また、店舗数にも大きな変化があります。Zoff単体で317店舗、買収対象のメガネスーパーが300店舗(うち232が路面・ロードサイド型)を持つため、グループ合計で617店舗に達する見通し。これはJINSの国内540店舗を大きく上回る規模です。
この買収の狙いは、単なる規模拡大にとどまりません。メガネスーパーはコンタクトレンズ販売に強みを持ち、コンタクト売上は約130億円、その70%以上が定期便で構成されています。これによりZoffは、「単発購買中心のメガネ」に加え、「リカーリング収益を持つコンタクト事業」も取り込むことで、収益構造の多様化と安定化を図る狙いがあります。
さらに、メガネスーパーの主顧客層はミドル〜シニア世代であり、若年層が中心のZoffとは顧客の重複も少ない。加えて、ショッピングセンター中心のZoffと、ロードサイド中心のメガネスーパーという出店戦略の補完関係も、今後の出店拡大において大きな武器となりそうです。