はじめに
長期金利は上昇する
もちろん物価水準だけが、長期金利の決定要因ではありません。これに景気の良し悪し、債券市場の需給動向、さらには日本国債や日銀に対する信用力も、長期金利に影響します。
企業業績に関していえば目下、トランプ関税の影響がどうなるのかを見ているところだと思いますが、4-6月期の実質GDP成長率は年率1.0%増で、5四半期連続のプラスでした。低いながらも景気は拡大局面にあります。
債券市場の需給ですが、1990年の国債残高は166兆3379億円であるのに対し、2025年度のそれは1129兆円です。債券市場にはそれだけ多くの長期国債が供給されていますから、需給でいえば供給過多で長期国債の価格は下がるはずです。長期国債の価格が下がれば長期金利は上昇します。
ところが現状、長期金利が急上昇していないのは、日本銀行が大量に日本国債を買っているからです。2025年3月時点で発行されている日本国債のうち、日銀が保有している割合は51.74%の545兆5980億円にも達します。
しかし、日本国債のソブリン格付は、S&Pで「A+」です。+はAという格付のなかで相対的に強いことを意味しますが、これが「A」、「A-」と下がれば、次に待っているのが「BBB+」です。ここまで格付が下がると、金利を上げなければ国債発行による資金調達が困難になります。
さまざまな要因に照らしてみても、日本の長期金利には上昇圧力がかかると見るのが妥当でしょう。
教育資金や老後資金は失敗できない!あなたが今からできる資産形成の始め方、お金のプロに無料で相談![by MoneyForward HOME]