はじめに

株価10倍、それでも“割高ではない”理由

実際、アシックスの株価は2022年5月からの約3年間でおよそ10倍に急騰しました。ここまで急激に上がると、「さすがに割高では?」と思うのが自然な感覚です。

現状のPERはおよそ34倍前後。日経平均の18倍(これも割高といわれています)と比較すれば、確かに高めです。しかし、これが“買われ過ぎ”かと問われると、判断は分かれるところです。

アシックスの営業利益は、わずか2年で2.5倍。利益率は2倍に改善し、ブランド価値とグローバル展開も急速に進んでいます。しかも、ただ数字が伸びているのではなく、「収益構造」「戦略」「株主姿勢」の三拍子が整いつつあります。

加えて、オニツカタイガーという高利益率ブランドが牽引する成長ストーリーは、ファッション×スポーツという“ハイブリッド”な市場を切り拓いています。今のPERは、将来の利益成長やブランドの広がりをある程度織り込んだ水準ともいえるでしょう。

つまり、短期的に見ればやや過熱感がある一方で、中長期で見れば「割高」と断じるのは、機会損失になるかもしれません。

ロンドンとバルセロナで見たオニツカタイガーの存在感は、まぎれもなく“世界ブランド”のそれでした。単なるスニーカーブランドではなく、都市の文化に根ざしたブランドへと進化しています。そんな企業を、個人投資家として、またユーザーとして応援できることはとても面白いと感じます。

ちなみに、狙っているのかどうかわかりませんが、ロンドンもバルセロナも、オニツカタイガーのすぐ近くにNIKEの店舗がありました。もしかしたら、NIKEレベルの「世界中の誰もが知るブランド」を目指しているのかもしれません。

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