はじめに
組み立て時のキーワードは”時間で分け、満期をずらす”
もう一度、金利上昇時にやるべきことをまとめます。まず、お金を①現在〜1年、②1〜3年、③5年以上と三つの期間に分けます。その後、以下のようにお金の置き場所をそれぞれ変えます。
②1〜3年:変動国債や短期債ファンド
③5年以上:NISAで長期の成長資産
次に、定期や債券の満期を一年ごとに少しずつずらします。このようにしておくことで、毎年どれかが満期となり、その時々の金利水準へ取りこぼしのないよう乗り換えることができます。金利相場を読み取る自信がなくても、金利の恩恵を受けることができます。
このやり方に対する注意点は二つあります。一つは金利上昇局面で長期の固定金利債に一度に多額を入れないこと。長い期間は価格が下がりやすいので、買うなら少額を時間分散させましょう。もう一つは、表面上の利回りだけで判断しないことです。これは外貨に特にいえることですが、為替ヘッジの有無とそのコスト、最終的な手取り利回りを確認しないと、期待どおりの成果にならないことがあります。ここまでお金の置き場所を整えることができれば、「金利のある世界」の恩恵は十分に受けられるようになるでしょう。
NISAに「足す」発想で、金利の恩恵を最大限に
“金利のある世界”では、守りの選択肢が再評価されます。だからといって攻めを脇に置く必要はありません。NISAで資産を伸ばしつつ、預金・個人向け国債・短期運用で守りの土台を整える――この二本立てにすることで、環境の変化に振り回されにくい家計になります。
大切なのは、商品名よりも「時間で分ける」という考え方。今日必要なお金は動かさず、近い将来に使うお金は安全域で待機させ、長く育てるお金はNISAで伸ばす。この順番を守れば、相場環境が変わっても慌てる場面はぐっと減ります。
手元資金の置き場を整え、安定の柱を立て、積み立てのリズムを保つ――この三つを丁寧に回し続ければ、家計の基礎体力は確実に強くなります。焦らず、分けて、続ける。NISAに「足す」発想で、これからの資産づくりを一歩ずつ前へ進めていきましょう。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。