はじめに
「どうしてお金が貯まらないんだろう…」そう悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか? もしかしたら、それはあなたが怠惰だからでも、浪費家だからでもないのかもしれません。ただ、今は「お金のためどき」ではない、それだけなのかもしれないのです。
人生には、お金を貯めやすい「お金のためどき」と、結婚、子育て、住宅購入といった大きなライフイベントが重なり、支出が膨らむ「お金のかかりどき」が必ず訪れます。このサイクルを正しく理解し、それぞれのステージで賢くお金を管理することが、将来の不安を減らし、より豊かな人生を歩むための鍵となります。
この記事では、私たちが経験するであろうライフステージをフェーズ毎に分け、お金をどう「ためて」「使う」べきか、アクションプランを提案します。
お金のためどき(若手・独身期)
人生最初の「お金のためどき」は、独身時代や結婚後の共働き期間です。まだ子どもがいない、あるいは小さくて教育費がかからないため、大きな支出が少ないのがこの時期の特徴です。収入はまだ多くないかもしれませんが、この時期に「お金を貯める習慣」を身につけることが重要です。将来の自分を助けるために、まずは以下の2つのアクションから始めてみましょう。
1. 手取り収入の20%を目標に貯蓄
給料が入ったら、まずは貯蓄に回す「先取り貯蓄」を徹底しましょう。「余ったら貯金しよう」では、なかなかお金は貯まりません。勤務先の財形貯蓄制度や、銀行の自動積立定期預金、自動積立投信などを活用すれば、給料日に自動的にお金が貯まる仕組みを簡単に作ることができます。まずは手取り収入の20%を目標に、貯蓄に回す金額を設定してみてください。
2. NISAを活用する
資産形成の第一歩として、少額から始められるNISAをぜひ活用しましょう。たとえばNISAのつみたて投資枠は、年間投資枠120万円、生涯投資枠1,800万円までの投資で得られた利益が非課税になる、非常にメリットの大きい制度です。若いうちから長期で運用することで、複利効果を最大限に享受できます。
たとえば、22歳から毎月5万円を年率5%で10年間積み立てたと仮定すると、その後も年率5%で30年運用できたとすると、元本600万円が約3350万円になります。もちろん投資には元本割れのリスクもあるため、必ずしもこのようになるとは限りません。この時期に始めた投資は、将来の大きな資産につながります。
お金のかかりどき(結婚・子育て期)
結婚、出産、住宅購入、子育て…この時期は、人生で最もお金がかかる「かかりどき」です。特に、住宅購入資金や教育資金という大きな支出が連続して発生します。夫婦で協力し、計画的にお金を管理することが不可欠です。
1. 夫婦での家計管理とライフプランニング
まずは、お互いの収入、貯蓄額、そして将来の夢や目標をオープンに話し合いましょう。家計簿アプリや夫婦共通の口座を活用すれば、お金の流れを共有しやすくなります。同時に、ライフプランニングを行うこともおすすめです。何歳で子どもが生まれ、何歳で家を買い、教育費がいくらかかるかなど、ざっくりとしたシミュレーションをするだけでも、漠然とした不安が具体的な計画へと変わります。もし難しければ、ファイナンシャルプランナーに相談することも有効です。
2. 大きな支出への備えや見直し
・住宅ローン:住宅ローンは、人生で最も大きな借金です。無理のない借入額を設定することが何より大切です。一般的には、年収の5〜7倍程度が無理のない目安といわれています。また、金利タイプ等のメリット・デメリットを理解し、ご自身のライフプランに合った選択をしましょう。
・教育費:大学費用は数百万円単位の支出になります。公立か私立か、理系か文系かによっても異なりますが、計画的な貯蓄が不可欠です。たとえば、児童手当を全額貯蓄するだけでも、大学入学までに約200万円を準備できます。
・保険の見直し:家族が増えるこの時期は、必要な保障が変わります。死亡保障や医療保障が今の家族構成に合っているか、無駄な保険料を払っていないか、定期的に見直しましょう。たとえば住宅ローンを組む際には団体信用生命保険に入るため、死亡保障見直しのタイミングです。