はじめに

お金を使うタイミングを時間軸に沿って考える

資産の状況が整理できたら、次はお金の使い道を考えます。ポイントは、ご自身のライフイベントを具体的にイメージしながら、時間軸に沿って考えることです。

①1年以内に使うお金
相続税など相続に伴い発生する支出に加え、生活防衛資金として生活費の6ヶ月分程度を普通預金などリスクの低い状態で保有しておくと、不測の事態が発生しても落ち着いて対応することができます。

②5年以内に使うお金
海外旅行や自動車の買い替え、あるいは住宅購入の頭金準備など、5年以内に計画している支出については、リスクを抑えた運用で資産を増やしつつ、元本割れのリスクを低減することを重視しましょう。

具体的には、個人向け国債や定期預金も候補です。高額な支出への備えとしては不動産の売却も選択肢ですが、売却には時間がかかるため早めの準備が必要です。

③5年以上先に使うお金
お子様の大学進学や老後資金など、将来に備えたいイベントがある場合には、適切なリスクを取りながら資産を増やすことを検討しましょう。リスクを抑えつつ資産の増加も期待できるバランス型ファンドなどを、NISAのつみたて投資枠を活用してコツコツ積み立てる方法がおすすめです。

あるいは、全世界インデックスファンドで世界中の株式に分散投資しながら、金などの異なる資産と組み合わせることで、リスク分散しつつ資産運用するのも良いでしょう。

④自由に使えるお金
③までを考えた後に余剰資金がある場合には、趣味や贅沢に充ててみてはいかがでしょうか。お金は人生を豊かにするために使うべきものなので、こうした支出も決して悪いことではありません。大切なことは、どの程度のお金なら使っても問題ないのかを把握しておくことです。

Aさんが実際に選択した道

Aさんが相続した財産の使い道を検討していく上で、最も重視したのはお子様の教育費でした。「私立理系の大学・大学院に進学する可能性も考えておきたい」という思いから、長期的に必要となる教育資金の準備を優先しました。

5年以内に大きな支出予定がなかったため、現金2,000万円の使い道を以下のように整理しました。

1年以内に使うお金
相続税、不動産取得に関する諸費用等のため350万円を現金で確保

5年以上先に使うお金
教育費を用意するためNISAの非課税枠を活用し、毎年360万円を4年間積立(総額1,440万円)。積立完了後の12年間を年利3%で運用できた場合、第一子が大学進学する頃には約2,100万円に成長する見込み

自由に使う資金
残り約200万円を趣味や家族旅行などに活用

その他、生活防衛資金はもともと保有していた現金から充てました。相続した不動産から得られる家賃収入(月10万円程度)は趣味や旅行に充てる一方、余剰分の一部はリスクを取った投資に挑戦することにしました。教育費の見通しが立ち、自由に使えるお金が明確になったことで「安心して楽しめるようになった」とAさんは話していました。

このようにAさんは教育費を優先しつつ、今の楽しみや少しリスクを取った投資への挑戦を取り入れる形で資産を整理しました。こうした具体的なプランニングが、安心してお金を使える土台になります。

メリハリあるお金の使い方で、より豊かな将来につなげる

将来への備えと今の楽しみ、そのどちらも大切にすることが資産活用の理想形です。今使うべきではないお金と、使っても良いお金を明確にし、メリハリのあるお金の使い方を意識しましょう。「お金の使い方が大胆になっていないか?」を定期的に確認することもおすすめです。

相続した大切な資産を守りながら育てるために、まずは「資産の整理」から始めてみましょう。それが将来の安心につながる第一歩になります。

教育資金や老後資金は失敗できない!あなたが今からできる資産形成の始め方、お金のプロに無料で相談![by MoneyForward]

この記事の感想を教えてください。