はじめに

金がポートフォリオにもたらす意味

投資において重要なのは、資産全体のバランスをどう取るかという視点です。

株式や債券など、市場の動きと連動しやすい資産だけを保有していると、相場の変動に左右されやすくなります。その点、金は株式・債券・コモディティと比べて相関が低く、市場が混乱したときに安全資産として逆相関(あるいは非相関)を示すことが期待されます。この特性があるからこそ、ポートフォリオにおける「守り」のパーツとして金を組み入れる価値があるのです。

一方で、「最近は、株高・金高が同時に進行していて、同じ値動きじゃないか」とおっしゃるかもしれませんが、それは世界的な金余り(過剰流動性)が大きな原因だと考えます。市場に資金が潤沢に供給されると、お金の価値が相対的に下がり、インフレが進みやすくなります。その結果、株式も金もインフレヘッジ(インフレ対策資産)として買われやすくなっているのです。長期的に見れば、金はインフレ下でも購買力を維持しやすく、実物資産としての強みを発揮します。こうした特性から、金は「守りの資産」として合理的な選択肢となります。

足元の金価格高騰は、中央銀行の買い需要拡大、ETF(上場投資信託)への資金流入、通貨安・インフレ懸念といった複合要因によって支えられています。これらの構造的な要因が継続する見通しである限り、金を売る理由は積極的には見つからないと考えます。

また、AI関連株などで得た投資収益を、金でヘッジしたいという需要も増えているようです。円安・ドル安が進む中で、地域分散の観点からもポートフォリオに金を加える意義は大きいと言えるでしょう。

金投資の落とし穴やデメリットとは

最後に、金の保有で考えられるデメリットも押さえておいてください。

金は利子や配当を生まないため、他の資産と比較すると機会コスト発生の可能性があります。また、相関が低い局面が期待通り続くとは限らず、金利上昇局面やドルが強い局面では金が売られやすくなります。

加えて、保管コスト・信託報酬・、購入や輸送・保険などのコストが生じます。金地金で保有する場合は盗難リスク、金ETFや金先物を使う場合は運用会社や証券会社の信用リスクやカウンターパーティリスクも考えられます。

これらを踏まえたうえで、どのように金を投資対象として活用すべきかを検討することが大切です。考えてみましょう。この記事が少しでも皆様の投資の参考になれば幸いです。

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