はじめに
週3日間のパート継続で「生きるためのお金」を稼ぐメリット
「医療職のパート(時給2,000円程度)」については、本業を辞めた後は当面、週3日間続けることをお勧めします。1日実働7時間勤務とすると、2,000円×7時間×週3日×4週=16万8,000円程度の収入が見込めます。税金や社会保険料を差し引いた手取りは、14万2,000円程度になるでしょうか。これにより「生きていくために必要なお金」は毎月のパートから確保できることになります。これくらいパートで稼げると、本業を辞めたことで安定収入が途絶える不安感がずいぶん和らぐことでしょう。
また、週20時間以上働くと、勤務先の社会保険に加入できるメリットがあります。この場合、毎月の社会保険料は2.6万円程度になります。
社会保険のうち個人負担の大きなものに、年金と健康保険があります。会社の厚生年金に加入しない場合には、60歳まで国民年金に加入することになり、国民年金保険料として月額17,510円(令和7年度)を払うことになります。国民年金保険料は収入に関わらず一律ですが、厚生年金保険料は収入に応じて決まるもの。見込まれている収入であれば、パート先で厚生年金に加入した方が、保険料負担が少なく、将来の年金額を増やせます。
健康保険についても同様です。会社を辞めてすぐに国民健康保険に加入すると、前年の所得に基づいて保険料が計算されて保険料負担が重くなります。また、辞めた会社の健康保険に退社後も加入する「任意継続被保険者」という選択もありますが、退職後は個人負担分と会社負担分の両方を自分で払うことになるため、負担が増えるでしょう。その点、退職後にパートを週3日、週20時間以上のペースで続ければ、社会保険に加入できるので保険料負担を抑えられます。
「豊かさのためのお金」は個人事業から
もう一つの「暮らしの彩りや事業のために必要なお金」は月額12万円でした。教育費が4万円、その他が8万円という内訳です。こちらは、個人事業からの収入で稼ぐことにしましょう。
事業からの収入がすでに月3万円程度あるということなので、今後は開業届を出してお客さんを増やし、収入を増やしていきます。教育費やその他の支出のうち、仕事に直結する必要経費は、経費として計上していきましょう。開業届提出前にかかった費用も「開業費」として計上できるので、領収書は保管しておきます。
12万円のうち、現在の事業分野からの収入は3万円程度ということですから、残り9万円は当面家計から出すことになります。9万円を1年間続けると108万円の支出です。ご相談者さんの場合、仮に3年間大きく集客が伸びずに3万円が続いても、108万円×3年間=324万円の貯蓄が減る程度ですから問題はありません。
これまで多くの起業家を見てきて、起業後に収入が安定してくるまでに3年ほどかかる人が多いためこのようにお伝えしました。ただ、ご相談者さんはすでに月3万円の収入を得られるだけの実績もあるので、事業に注力できたらもっと早く顧客が増やせるという期待も持てます。