はじめに

投資とは不思議なもので、利益が出たら出たで「そろそろ下がるかもしれないのでは」という不安に駆られてしまう方も少なくありません。今回は、iDeCoの運用時に覚えておきたい利益との向き合い方について考えていきたいと思います。


「利益はそのままにしていい?」相談が増加

株式市場は堅調な動きを続けています。2025年10月末時点の日経平均株価は52,411円でした。2025年の始まりは約40,000円でしたから、1年弱で約12,000円の上昇となっています。また、S&P500も2025年10月末時点で6,840ドルと、年初から1,000ドルほど値上がりしています。

具体的な投資信託で見てみると、例えば「eMaxis Slim 国内株式(日経平均)」については、2025年9月末時点の運用報告書による直近1年の騰落率が+20.8%です。同じく「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は+22.4%、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):通称オルカン」は+22.1%となっています。オルカンは米国株が6割程度を占めるため、米国市場の影響が大きい一方、新興国株式も堅調であったことが報告書で触れられています。

iDeCo加入者の中には、所得控除メリットを受けるための制度として捉え、運用をせず定期預金で積み立てている方もいらっしゃいますが、最近は投資信託を積極的に選択する加入者も増えています。そのため、iDeCoの資産残高がプラスになっている方は多いのではないかと思います。

特に投資経験が浅い場合、評価益が+10%、+20%、あるいはそれ以上になると、「これはいつまで続くのか」「大きな下落が来るのでは」と不安になる気持ちも理解できます。

また、長くiDeCoを続けてきた方の中には、損益率が100%を超え、資産が2倍以上になっている方も珍しくありません。「この利益、そのままにしておいても大丈夫ですか?」といったご相談が増えているのも最近の傾向です。

もちろん、今後の株価動向を正確に予想することはできません。しかし、長期投資では「気持ちと折り合いをつける」ことも大切です。iDeCoは60歳まで資金を引き出すことは原則できませんが、口座内の運用商品の売買(スイッチング)はいつでも可能です。つまり、利益が大きくなってきたと感じたら、その一部または全部を売却し、定期預金などの元本確保型商品へ預け替えることができます。

特に受取時期が近づいている方は、時間をかけて段階的にリスクを下げていくという考え方も有効です。

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