はじめに
投資の基本として語られることの多い「ドルコスト平均法」。一定額をコツコツと積み立てるシンプルな手法は、初心者にも始めやすいとされています。一方で「非効率では?」という声もあり、万能な手法ではありません。本稿では、「王道派」と「効率派」という二つの視点から向き・不向きを整理し、自分に合った投資戦略を考えるヒントをお届けします。
ドルコスト平均法をめぐる二つの視点
投資の世界で繰り返し取り上げられるテーマのひとつに「ドルコスト平均法」があります。一定額を定期的に積み立てるこのシンプルな手法は、多くの投資初心者にとって「最初の一歩」として推奨されます。
一方、否定派の方もいます。「市場は学べば読める」「上げ下げを活かして利食いや損切りをすべきだ」とする考え方も根強く存在しており、「ドルコスト平均法で積立投資をしても良いのか?」と疑問を持つ方も少なくありません。
結局のところ、ドルコスト平均法は誰に向いていて、誰には不向きなのか。そして、不向きな人にとってはどのような戦略が代替案となるのか、本稿で考えていきます。
王道派:ドルコスト平均法で時間を味方につける
ドルコスト平均法とは、価格が上がっていても下がっていても一定額で定期的に投資を行う、仕組み化した投資法です。米国株インデックスや世界株インデックスのように、長期的に右肩上がりで成長してきた資産に対しては、「時間を味方につける」積立投資が効果を発揮します。短期的な値下がりは「安く仕込むチャンス」となり、価格が高いときは少なく、安いときは多く購入するため、結果として取得単価が平準化されます。
この仕組みがもたらす最大のメリットは、「感情を排除できる」点です。相場に一喜一憂せずに自動的に積み立てられるため、心理的なブレを減らせます。つみたてNISAを活用すれば非課税で運用でき、時間を味方にした複利効果が期待できます。
ドルコスト平均法が向いている人は、まず投資初心者です。知識や経験が少ないうちは、「買い時がわからない」という悩みに直面します。ドルコスト平均法は、判断を自動化することで投資を始めやすくします。
また、忙しいビジネスパーソンや子育て世代にも適しています。市場を細かく追う時間がない人にとって、「考えなくても資産形成できる」仕組みは大きな強みです。
さらに、時間を味方にできる若い世代にも有効です。老後資金や将来の備えなど長期の積み立てを実現しようとする場合、短期的な値動きよりも続けられる仕組みの方が、堅実な戦略となる場合があります。
市場の過熱時や急落時にも淡々と買い続けられる点もメリットです。
11月に入り株式市場は急落しましたが、その際にも、愚直に買える戦略を取っている方は、「急落していると怖くて買えない」「恐怖心から途中で売ってしまった」といった心理的ミスを避け、結果的に好成績を残すケースも見られます。