はじめに
物価上昇が続き、食費の負担が重くなっています。そこで、日々の買物で使えるスーパーマーケット銘柄の株主優待を家計防衛ツールとして活用する発想に注目します。本稿では、優待を節約に生かすメリットと注意点、選び方のポイントを整理し、食費削減に効く具体的な銘柄も紹介します。
値上げラッシュの今こそ、株主優待で節約
食料品の値上げラッシュが続いていますね。その要因の大きなひとつがインフレです。インフレが進むと、暮らしのコストが上がります。食品・エネルギー・サービスの価格が上昇すれば、家計支出が膨らみ、貯蓄の実質価値も目減りするリスクがあります。こうした局面で個人投資家が考えるべきは、「運用で増やす」だけでなく、「株を保有していることで得られるメリットを暮らしに使う」発想です。
今回は、家計の節約をテーマに、食費の削減にダイレクトに寄与するスーパー銘柄の選び方に焦点を当てていきます。
まず、株主優待を通じた節約には以下のようなメリットがあります。
1.優待品・サービスを現金支出の代替にできる
例えば自社商品詰め合わせや買物割引券、食事優待券など、普段の出費を少し減らせるアイテムとして優待が使えます。インフレで商品価格が上がる中、優待を利用してその上昇分を抑えるという発想が成り立ちます。
2.利回りを「実質的な家計還元率」として捉えられる
株主優待+配当を合算した総合利回り=株主還元を、暮らしに還元されるメリットとして考えてみてはいかがでしょうか。通常の配当利回りだけではインフレ率に追いつかないケースもありますが、優待を加味することで実質的な価値を高められる可能性があります。
3.優待は非課税的メリットにもなり得る
株主優待は、配当に比べて税制上有利というわけではありませんが、現物として受け取るメリットがあります。配当には通常20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の課税がありますが、500円のQUOカードは500円分をそのままもらうことができます。したがって、インフレ時代には「株主優待銘柄」を家計の支えとする戦略は家計の一助として有効といえるでしょう。
銘柄を選ぶ際の注意点やポイント
優待目当てで銘柄を選ぶ際には注意点もあります。企業の財務が弱かったり、優待のコストが株主構成に無理を強いていたりすると、優待制度自体の継続リスクがあります。さらに、株価変動・優待の変更・権利確定月の確認など、手間もかかります。このため、「優待+配当+企業の成長性・財務健全性」を総合的に評価できることが重要です。注意点やポイントが次の通りです。
※なお、銘柄情報や優待制度は変更される可能性がありますので、実際に投資を検討される際は最新の決算資料・IR情報を必ずご確認ください。
1.実用性の高さ
優待内容が、誰もが日常的に使いやすいジャンル(外食、スーパー、食材、調味料、飲料など)であること。特定地域や限定店舗でしか使えないものは除外しやすさを基準とする。
2.還元率(優待利回り/総合利回り)
株価に対する優待価値の割合、さらには配当との合算でどの程度のリターンになるかを重視する。
3. 必要投資金額の手ごろさ
最低株数で取得可能な優待であること。初心者〜中級者が手を出しやすい範囲であることを重視。
4. 継続性と制度設計
優待を継続して供給できる体力や仕組みを持つ企業、優待改定・廃止のリスクが比較的低そうな企業を選ぶ。
5.複数用途・柔軟性
優待を店舗で使う以外に通販で代替できる、複数チェーンで使えるなどの柔軟性があるもの。