はじめに
ソフトバンクグループ(9984)は11日に、2025年4~9月期(中間期)の連結決算を発表しました。純利益は前年同期比2.9倍の2兆9240億円に達し、上期として過去最高益を記録しました。
上期過去最高益を達成
ソフトバンクグループは、対話型AI「ChatGPT」や画像生成AI「DALL-E」の開発で知られるOpenAIに累計108億ドル(約1兆7,000億円)を出資しています。その持ち株の公正価値は9月末時点で265億ドルに上ります。
ソフトバンクグループの保有株価値から純有利子負債を差し引いた「時価純資産(NAV)」は、11月10日時点で36.2兆円と過去最高水準となっています。このような投資先の企業価値向上が、過去最高益に寄与しています。
なお、ソフトバンクグループはOpenAIへの追加出資を行い、組織再編を経て12月の出資完了時には累計347億ドル(約5兆3,000億円)を投資し、出資比率が約11%の大株主となる予定です。今後、ソフトバンクグループの株価は、このOpenAIの動向が鍵を握ると見られます。
戦略的な株売却と上場子会社の好調
ソフトバンクグループは、決算発表と同時に、保有する半導体大手のエヌビディアの全株式(3210万株)を58.3億ドルで売却したことを公表しました。また、Tモバイルやドイツテレコム株の一部売却も発表しています。かつてはエヌビディア株を買い集め大株主に浮上した経緯があります。
連結子会社であるキャッシュレス決済サービスのPayPayも順調に成長しています。登録ユーザー数は7100万人を突破し、決済取扱高は9.2兆円、EBITDA(金利・税金・減価償却費控除前利益)は483億円です。PayPayは2025年8月、米国での新規株式公開(IPO)手続きを進めるために米証券取引委員会(SEC)に登録届け出書を提出しました。12月にも米国で上場する見通しとの報道もありましたが、決算発表時には「米政府閉鎖の影響で当局の審査が止まっている」と、上場時期の遅延の可能性を明らかにしました。
米国市場に上場する半導体設計大手ARMも好調です。2025年7~9月期決算では、売上高が前年同期比34%増の11億3,500万ドル(約1700億円)、純利益は2.2倍の2億3,800万ドルとなり、データセンター向け設計技術の提供事業が拡大しています。