はじめに

買い場か否か、投資家が見るべきポイント

このように、「企業の実力」と「外部環境リスク」がせめぎ合う状況にある中で、この急落をチャンスと取るか、逃げ場と取るか、投資家の判断は揺れるところです。

短期的には、リスクを見極めるための「様子見」が賢明です。地政学リスクが解消しない限り、インバウンド需要への不安が株価の上値を抑え続ける可能性があり、こればかりは、企業の力ではどうしようもないことです。

ただし、中長期的な視点では、今の水準は「押し目買い」の好機とも捉えられます。なぜなら、三越伊勢丹は中期経営計画(2025〜2030年度)で「個客業」への構造転換を明確に掲げ、すでにその効果が業績に現れつつあるからです。また、都心部の不動産活用による「まち化」戦略も控えており、百貨店業に依存しない新たな収益源も期待できます。

加えて、総還元性向70%以上と株主還元に対しても積極的であり、中長期的には投資妙味を感じます。

結論として、三越伊勢丹の現在の株価下落は「外部要因によるノイズ」が大きく、その中でも企業の内部では着実な構造改革が進行しています。インバウンド需要の一時的な減速があっても、識別顧客の拡大や高付加価値消費の取り込みは継続しており、企業価値はむしろ上昇基調を描いています。

地政学リスクが高まる局面では、投資家はどうしても目先の変動に反応しがちです。しかし、過去を振り返れば、地政学リスクで急落したときは、絶好の買い場であったことが多く、今回もそうである可能性が高いと思っています。
慌てず騒がず、中長期的な視野で投資判断を行うことが、将来の大きなリターンにつながると信じたいものです。

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