はじめに

例年12月はIPOがラッシュを迎える時期のため関心が高まります。2025年12月も、12月3日時点で15社と、3月(12社)を上回り最多となっています。

一方で、2025年のIPOの社数は全体として大幅に減少しました。要因として、東京証券取引所が7月に開催した「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」で、グロース市場・スタンダード市場における今後の対応と方向性について議論されたことや、主幹事証券会社側の受託ハードルが上がったことなどが挙げられます。


注目IPO:SBI新生銀行の再上場

その中でも、注目度の高いIPOを紹介します。それがSBI新生銀行(8303)です。12月17日に新規上場予定で、売り出し価格は8日に決定されます。

同行の母体は1952年に設立された日本長期信用銀行です。金融債を発行して資金調達し、企業に設備資金や長期運転資金を貸し付けることを主業務としていました。1998年に経営破綻し、一時国有化されました。その後「新生銀行」に社名変更し、2004年2月に東証1部に再上場。2021年12月にSBIグループ入りし、2023年に「SBI新生銀行」に社名変更、非公開化されましたが、今回は長銀時代から数えて3度目の上場となります。

同行の現在の特徴として、SBI証券と連携した「SBIハイパー預金」による高金利や、提携ATMの無料利用、振込手数料無料といった優遇サービス、さらに、スマホアプリで手軽に取引でき、銀行・証券・ローンなど幅広い金融サービスの提供が挙げられます。ネットからの他行宛振込手数料が、ステージに応じて月1回から最大10回まで無料になるなど、振込回数の優遇制度も充実しています。住宅ローンも、魅力的な金利水準、豊富な金利タイプ、最長50年の借入期間などが特徴です。

SBI新生銀行は、東証プライム市場への上場に伴う株式売り出しの仮条件を1株当たり1,440円~1,450円に決めたと発表しました。仮条件に基づく時価総額は最大で約1兆2,985億円となり、今年最大級のIPOとなる見通しです。

海外投資家からの高い評価と利上げ期待

先週、注目すべき記事がありました。それは、同行が再上場する際に、政府系ファンドのカタール投資庁が約310億円、米ファンドのKKRが約30億円出資するという内容です。また、英国M&Gインベストメントが約270億円、米ブラックロックが約190億円の株式を購入することを表明しています。このことからも、同社に対しての高い評価が伺えます。

同行が注目される理由として、日銀が12月、あるいは来年にかけて利上げを検討している状況が挙げられます。先週、日銀の植田総裁は、内外経済・物価情勢や金融資本市場の動向を、様々なデータや情報をもとに点検・議論し、利上げの是非について適切に判断したいとの考えを示しました。この発言を受け、先週はメガバンク3行や地銀の株価が上昇しています。

ただし、上場後も配当金の増加を目指すとしていますが、2026年3月期の業績予想によると、1株あたり配当金は34円となり、想定価格での配当利回りは2.36%とそこまで高くはありません。

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